フルモデルチェンジは「あまり悩まず」

誕生から20年超の歴史を持つフォレスターだけに、ある程度は市場からの評価も確立しているはず。それをフルモデルチェンジする場合は、大きく変えるにしろ小さく変えるにしろ誰かの不満を買うことになりそうなので、開発責任者の苦労は多そうだ。そのあたりについて聞くと布目氏からは、「もともと技術畑なので、あまり悩んでいない」との意外な答えが返ってきた。

「お客様が評価してくれているポイントや、普段使っていて不便を感じないように改良できる部分などを、どこまで積み上げられるかだと思う。現時点で、これ以上はできないというところまで積み上げれば、それが商品の評価につながる」。技術開発が進んでいるので当然だが、スバルでは毎年、クルマに対して盛り込める要素が増えていく。それを最大限、新しいフォレスターに詰め込んだというのが布目氏の言葉の意味だろう。

  • スバル「フォレスター」のリヤゲート

    広いリヤゲートの開口幅

進歩の一端が垣間見える顔認証システム

その進歩を物語るポイントとして布目氏は、新型フォレスターに搭載した「ドライバーモニタリングシステム」という機能を引き合いに出した。これは車内を見守るカメラとそれに関連するシステムのことで、例えばドライバーが脇見や居眠りをした場合、カメラがそれを捉え、早めに警報を出して注意を促す。

こういったシステムは他のメーカーのクルマにも搭載されているが、スバルでは同システムに顔認識技術を盛り込んだ。これによりシステムは最大5人の顔を覚えて、誰が運転席に座るかにより、シートポジションやディスプレイで表示する情報、エアコン設定、ドアミラーの傾きなどを調整する。つまり、ドライバーが各自の好みに合わせて新型フォレスターをパーソナライズできるのだ。「クルマとヒトの間のインターフェースは、もっと親密であってもいい。クルマが自分を認識してくれることが大事なのではと考えたので、若いエンジニアと一緒になって作ってみた」。そう布目氏は話す。

  • スバル「フォレスター」

    乗る人の顔を覚える新型「フォレスター」

新型フォレスターを買うのは父親だとしても、その子供が時々、このクルマを借りて乗るケースは大いにありそうだ。そんな時でも、クルマが自分を覚えていてくれるというのが、この機能の特徴だ。顔認証機能のついたスマートフォンや、別々のプレイヤーが各自のアカウントでサインインして遊ぶゲーム機などに慣れている世代であれば、この機能を面白がるかもしれない。

こんな機能も追加となった新型フォレスターだが、日本仕様の発表・発売は2018年の初夏になるそうだ。