基本的な価値は「踏襲」
スバルがフォレスターで提供する価値の基本は「どこにでも行ける、どんな場所でも使える」というもの。布目氏は基本的な価値を踏襲しつつ、そこに何を加えられるかを考えて新型モデルを開発したという。
開発にあたってスバルが調べたのは、顧客がSUVにどのような情緒的な価値を求めているかということ。それは「心の中の冒険心を後押ししてくれる走行性能・デザイン」であり、「同乗者まで楽しめる快適な室内空間」であったと布目氏は語る。
SUV“らしさ”を前面に打ち出す「フォレスター」
その観点で新型フォレスターを見ていくと、まずデザインはスクエアながらフェンダーが張り出しており、SUVらしい力強さが感じられる。サイドからピラー(ウィンドウを縦に区切る柱のような部分)につながる削ぎ落としたような硬質な面では、SUVの躍動感も表現しているという。SUVが世界的に流行しているだけに、最近は輸入車勢を含め新型モデルを目にする機会が多いが、どちらかというと「都会的」な印象のクロスオーバーSUVが市場に増える中、スバルの「フォレスター」はいかにもSUVらしい形をしているといった感じだ。
寸法を見ると、ホイールベース(前輪と後輪の中心を結んだ長さ)は現行モデルに比べ30ミリ長くなっているが、その延長分は前席と後席の距離を広げるのに使った。これで後席足元の快適性が向上するという。幅も20ミリ広くなっているが、これも助手席と運転席の間を広げるのに使い、室内の「広さ感」を引き上げたそうだ。こういった設計を布目氏は「ヒト中心の寸法設定」と表現する。
「冒険心」とは出掛けたくなる気持ちのことだと考えられるが、その部分で注目したいのは荷室の使い勝手だ。荷物を積んでキャンプやゴルフに出掛けるという用途がフォレスターにはありそうだが、新型のリヤゲートは開口最大幅が現行モデルに比べ134ミリも広い1,300ミリとなっている。これでゴルフバックは真横にして積み下ろしができるそうだ。新型モデルではリヤゲートを電動で開閉する機能を刷新し、よりスムーズな(素早い)挙動を実現。ルーフレールには荷物をくくりつけるひもを通す穴(タイダウンホール)を設けている。