機動性の高さから実用目的でバイクに乗る人々

筆者が訪れた海外の都市でここまでバイクに厳しいのは、エンジンで走る二輪車の走行が禁止されている中国の上海ぐらい。逆に、タイのバンコクやフランスのパリでは、驚くほど多くのバイクを見かける。

  • ドゥカティ「Panigale V4」

    海外では多くのバイクを見かける(画像はドゥカティの「Panigale V4」)

道端で観察していると、メインは趣味ではなく、実用としてバイクに乗る人々であることに気付く。機動性を評価して選んでいるのだ。ゆえに、バイクタクシーなる交通手段もある。1~2人で移動するなら、道路占有面積がクルマより小さいので渋滞解消に寄与するし、地球温暖化防止にもなろう。

大都市で生活する人にとっては参考にしていいと思うこの考え方が、少しずつ日本にも浸透してきているような感じがする。ここ数年、日本で売り上げを伸ばしてきたのが51~125ccの原付2種であり、主力がスクーターだからだ。

50ccという排気量を現在も主力としているのは日本ぐらいで、グローバルでは125ccが主流だ。大量生産によるコスト低下も期待できることから、国内向け車種も充実しつつある。警察も原付2種の免許取得を容易にするなどしており、主力が50ccからこちらに移行しつつあるという流れだ。

  • プジョー「DJANGO」

    グローバルでは125ccが主流だ(画像はプジョーの125ccモデル「DJANGO」)

その上の126~250cc、軽二輪(二輪の軽自動車)も底を打って伸びはじめた。四輪の軽自動車と違って車検がないことに加え、アジアでは上級車種になる本格的スポーツモデルが充実していることが魅力だ。

こちらには若いユーザーも注目しているようで、ホンダやヤマハのスポーツモデルのユーザーの中心は10~20歳代と、高齢化が懸念される近年のバイク市場では異例と呼べる結果を出している。