iPad(第6世代)の進化のポイントは、見えない部分に隠されている。まず、プロセッサがA9からA10 Fusionへと1世代新しくなった。iPhone Xに搭載されているのはA11 Bionicであり、さすがにこれには劣る。だが、A10 FusionはiPhone 7やiPhone 7 Plusに搭載されていたプロセッサであり、先代と比べて特にグラフィックス性能が30%上昇するなど顕著な進化を遂げている。
加えて、iPad(第6世代)の特徴にして最大の進化といえるのが、これまでiPad Proのみで対応してきたApple Pencilをサポートしたことにある。
これまで、Apple Pencilを利用したいユーザーはiPad Proを選択するしかなく、最も安い10.5インチの32GB Wi-Fiモデルで649ドルと、気軽に手が出しにくい価格設定だった。しかし、iPad(第6世代)は329ドルに据え置かれており、Apple Pencilが利用できるiPadとしてはほぼ半額で入手できる存在になったのだ。
この価格は、非常に大きなインパクトをもたらすと予測している。筆者がイベント中にTwitterでライブ中継をしていると、「この価格ならばApple Pencilを使ってみたい」というユーザーからの返信や引用が多く寄せられた。それだけ、Apple Pencilのペン体験の高さに興味を持っている人が多く、あとは価格の問題であったことが分かる。
iPadの長い低迷からの脱却のきっかけがiPad(第5世代)の価格引き下げであったが、今回もiPad体験をより身近な価格で提供できることが、iPadを押し上げる要因になりそうだ。