ATOK Passportはこれまで、インストール済みのPC/デバイスをユーザーが一覧するような仕組みがありませんでした。そこで、ATOK 2018をインストールしたデバイスをWebページ上で管理する「ATOK My Passport」を新たに用意したほか、ATOK Sync APを用いてWindows・macOS・Android間のATOK 2018で登録単語の同期を可能にしています。
残念なのは、ATOK PassportにiOS版がいまだに含まれないこと。単語登録の同期はもちろんですが、iOS版のATOKを別途購入する必要があり、普段からiPhoneをメインのスマートフォンとして使っている筆者にとって、もどかしく感じる点です。
このような、OSによる機能差はいまだ残ります。前述したATOKディープコレクトを始めとする新機能はWindows版限定であり、ジャストシステムはmacOS版など別のOSでは「検討中」と述べています。今後、ATOK 2018は年に数回程度の更新を予定していますが、一太郎2018に付属するATOKはセキュリティ修正にとどまり、機能強化は含みません。常に最新版のATOKを利用するには、月額制のATOK Passport以外の選択肢がなくなったことになります。
今回、筆者が一太郎版からATOK Passportに切り替えた最大の理由が、最新版の機能強化でした。これまでのパッケージ版よりも少し安い月額利用料を支払うことで、最新のATOKを使い続けられるのは大きな魅力です。更新頻度と追加される新機能については今後の状況しだいですが、少なくとも前述したATOKディープコアエンジンの性能向上や、標準辞書のチューニングといった恩恵は受けられるでしょう。
一太郎シリーズに付属するATOKを除けば、ATOKをメインの日本語入力システムとして使い続けたい読者諸氏にとって、ATOK Passportが唯一の存在。最新のATOK(パッケージ版・ダウンロード版)を1年ごとに購入してきたなら、ATOK Passportへの乗り換えをおすすめします。
阿久津良和(Cactus)