かつては総合自動車メーカー、これからは何を目指す?
かつては軽自動車から乗用車、コンパクトカーから大型車「デボネア」までの幅広いバリエーションを抱え、これに商用車も軽トラから小型トラック「キャンター」、中・大型トラックと取りそろえた三菱自は、世界にも類を見ない総合自動車メーカーだった。このうち、トラック部門の「三菱ふそう」は分離独立し、ダイムラーの傘下となった。
三菱自としては、軽自動車で初の電気自動車(EV)「i-MiEV」(アイ・ミーブ)を市場投入し、SUV「アウトランダー」のPHV(三菱自ではPHEVと呼称)は、世界の市場で高い評価を受けている。今後の商品戦略も得意のSUVに照準を絞り、このタイプのクルマのバリエーションを広げるとともに、電動化を進めていく方針だ。今回の「エクリプス クロス」はその第一弾でもある。
新型車効果で国内販売に明るい兆しも
ただ、今回の国内投入が4年ぶりの三菱自の新型車ということで、国内の三菱ディーラーは、ようやく士気が上がってきていることだろう。この間の辛抱は、大変なものだったと想像できる。かつては「ギャラン店」と「カープラザ店」という2つの販売チャネルがあったが、一本化されても商品力が伴わないと厳しい。「エクリプス クロス」に続く三菱の商品力強化の方向が、国内三菱ディーラーの立て直しにもつながることになる。
数字的に見れば、三菱自の業績V字回復は今期にも見えることになる。だが真の復活は、日産とのシナジー効果に頼るだけでは達成できないはずだ。
三菱自にとってグローバル販売は100万台レベルだが、主体は東南アジアのタイとインドネシアであり、収益力の依存度も高い。100万台のうち、同社が強みとするアジアでの販売台数は約39万台と4割近くを占める。すでに米国生産からは撤退し、アジアに次ぐのは欧州の約19万台だ。燃費不正問題で大幅に販売減となった日本では、信用回復とともに新型車効果で10万台復活を狙うことになる。