独自の施策で差異化を図る北欧・中国勢
5Gでは帯域幅が広く、既存の4Gより高い、6GHz以上周波数帯を用いることで、高速化を実現する。だが高い周波数帯は電波の直進性が強く、障害物が多いと電波が届きにくいという特性がある。それゆえ5Gでは従来のように広範囲に電波を届けるのではなく、多数のアンテナ素子を用いてユーザーが利用する端末に直接電波を届ける「Massive MIMO」などの技術を用いることで、可能な限り従来と変わらないエリアカバーを実現しようとしている。
また5Gの通信を司るコアネットワーク側では、ユーザーの用途に応じてネットワークの使い方を変える「ネットワークスライシング」という技術を導入。高速性が求められる動画配信と、低遅延が求められる遠隔操作とでネットワークを分け、双方の機能を両立することが重視されている。
だがこうした基本的な技術は標準化がなされているだけに、各社の機器ともに基本的には大きな違いが出るわけではない。それゆえ通信機器ベンダーは、基礎部分以外でさまざまな差異化を図っていくことにより、機器販売の拡大につなげようとしているようだ。
例えばエリクソンは、最大で5つの周波数帯の電波をキャリアアグリゲーションで束ね、さらに4×4 MIMOを適用することによって、2Gbpsの通信速度を実現する仕組みの開発を、クアルコムなどと共同で進めているという。5Gが当初から現在のLTE並みにエリアを広げられるわけではないことから、5GのエリアからLTEのエリアに移った際にも、可能な限り通信速度が変わらない環境を作り上げる狙いがあるようだ。
またファーウェイは、基地局やコアネットワークだけでなく、チップセットや端末も自社で全て提供できる強みを生かし、5Gのモデムチップと、それを搭載した「CPE」(Customer Premises Equipment)と呼ばれる据え置き型のWi-Fiルーターを開発したことを発表。ネットワークから端末まで、いち早く提供できる環境を整えたことをアピールしている。