標準化に目途が立ったことで、2019年から2020年にかけての商用化に向けた準備が急速に進められている次世代モバイル通信方式「5G」。その5Gを実現するネットワークインフラや端末を開発するする上で必要な機器やチップを提供するベンダー同士の争いも、急速に激しさを増しているようだ。2月26日からスペイン・バルセロナで開催されていた「Mobile World Congress 2018」の様子から、5Gを巡る現在の競争環境を追ってみよう。
5G NRの標準化とともに競争が加速
最大で20Gbpsの通信速度を実現するなど、現在主流の4Gより高い性能を誇る次世代のモバイル通信規格「5G」。昨年12月に「5G NR」の標準仕様の初回策定が完了が完了したことから、いよいよ商用サービスの実現に向けた準備が、本格的に進められることとなった。
中でも5Gの導入に前向きな姿勢を示しているのは、東京五輪が開催される2020年に合わせて5Gの商用サービスを提供する予定の日本のほか、平昌五輪で5Gの試験サービスを提供していた韓国、そして4Gで先行している米国や中国などだ。こうした国々では2019年から2020年にかけて5Gのサービス提供を予定しており、標準化に目途が立ったことを機としてサービス提供に向けた準備が急ピッチで進められるものと見られる。
それに伴い激しくなっているのが、5Gのネットワークを整備するのに必要な、基地局やアンテナなどを提供する通信機器ベンダー間の競争である。標準化の完了前までは、キャリアなどと協力しての実証実験しか展開できなかったが、標準化に一定の目途が立ったことにより、実際のビジネスへとつなげられるようになったからだ。
実際、スペイン・バルセロナで毎年開催されている携帯電話の総合見本市イベント「Mobile World Congress」でも、昨年までは商用化への道筋が明確にされていなかったこともあり、5Gに関するアピールは比較的抑えられていた。だが今年は5Gを前面に打ち出す企業が増え、5Gのビジネスと競争が本格化しつつある様子を見て取ることができた。
通信機器ベンダーとして世界的に大きなシェアを持つ企業は、エリクソンやノキアなどの北欧勢と、ファーウェイやZTEなどの中国勢である。中でもトップシェアを争うエリクソンとファーウェイは、大規模な展示スペースを設け5Gの製品アピールを積極的に推し進めていたようだ。