他方、長年親しまれた大阪市営地下鉄の各種表示類は、やはり一新されるだろう。「○」と「コ」を組み合わせたマークや、ヒゲがついた独特な看板の書体、同じスタイルを貫いていた路線図などである。1月25日にはOsaka Metroのロゴも発表されており、それが4月1日には、一斉に駅や電車へ掲げられるはずだ。
今後のデザイン戦略は、ロゴを基本として組み立てられるに違いないが、トイレのリニューアルや案内表示の刷新などは、すでに進められている。株式会社としての個性はどう発揮されるのかにも注目したい。
ただ、大阪市営地下鉄を単に「地下鉄」と呼ぶのが、これまでの利用客の常であった。「大阪メトロ」ならともかく、英文のOsaka Metroがどこまで浸透するのかは、わからない。イメージとかけ離れたとみなされる愛称が、利用客の批判を浴びる例が、昨今の鉄道業界には目立つのも不安要素である。
ましてや、見栄を嫌い実質を尊ぶ、運賃に見合うサービスが得られないと、すぐほかの鉄道へ逃げるなど、鉄道への関心が高い。そして"民尊官卑"などと揶揄される大阪人の気質が立ちはだかる。Osaka Metroが、これとどう折り合いをつけ、利用客に施策を認めてもらうのかが課題だ。民営化の成否は結局、電車に乗る利用客が判断することだろう。