スペイン・バルセロナで2月26日より開催されていた「Mobile World Congress 2018」。そこでは次世代の通信技術「5G」を中心に、携帯電話に関する多くの最新技術の展示がなされていました。それらの展示から見えてくる、モバイルの未来とはどのようなものなのでしょうか。

5Gのアピールを積極化する基地局ベンダー

2018年も世界最大の、携帯電話の総合見本市イベント「Mobile World Congress 2018」がスペイン・バルセロナで開催されました。このイベントには毎年、スマートフォンメーカーからキャリア、基地局などを提供するベンダーに至るまで、モバイルに関連する世界中の企業が出展し、最新のモバイル通信技術を披露しています。

中でも今年、大きな注目を集めたのが「5G」です。5Gは現在日本で主流の「4G」の、次の世代となる通信規格。最大20Gbpsもの高速大容量通信や、ずれのない遠隔操作などを実現できるネットワーク遅延の小ささ、そしてIoT時代を控え多数の機器の同時接続を実現するなど、4Gよりも大幅に性能が向上しているのが特徴です。

5GはこれまでのMobile World Congressでも大きなテーマの1つとなっていましたが、5Gの仕様を決める標準化団体「3GPP」での標準化が完了していなかったため、基礎技術やコンセプトなどの展示が多くを占めていました。ですが昨年(2017年)の12月に、3GPPが5Gの通信方式「5G NR」の標準仕様の初回策定が完了したことで、5Gの商用サービスに向けた目途が立ったことから、今年のMobile World Congressでは5Gの商用化に向けた具体的な製品の展示が増え、従来以上に盛り上がったのです。

  • 今年のMobile World Congressで一段と注目されていたのが、次世代通信規格の「5G」。会場の至る所で「5G」の文字を目にすることができた

特に大きな盛り上がりを見せていたのが、エリクソンやノキア、ファーウェイなど、5Gのインフラ整備に必要な基地局やコアネットワークなどを提供するベンダーです。5Gの仕様が固まってきたことを機として、5Gのインフラを整備したい世界各国のキャリアに向けていよいよ具体的な製品の販売ができるようになったことから、各社とも自社製品のアピールに積極的な様子が見られました。

  • 5Gの標準化にめどが立ったこともあり、エリクソンなどの基地局やアンテナを提供するベンダーがキャリア向けのアピールを強めていた

ちなみに日本では東京五輪に合わせて2020年に5Gの商用サービスを開始する予定ですが、米国や中国、韓国では2019年に5Gの商用サービスを開始すると見られています。サービスを提供するキャリアにとってもインフラ整備に残された時間は少ないだけに、基地局ベンダー同士の競争は激しくなるものと見られています。