メッセージを送る仕組み

どうしてこのようなことが可能なのか。LINEはユーザー情報として名前や電話番号といった情報を保有している。一方、企業側もユーザー登録などを通じて電話番号などの情報を保有している。そこで企業側がメッセージを送りたい相手の電話番号とメッセージをハッシュ化してLINEに送信すると、LINE側でマッチングし、対象になるユーザーにのみ通知を送る、という仕組みだ。

個人情報の取り扱いが気になるところだが、今年1月に改訂されたプライバシーポリシーに含まれており、基本的にLINEを利用しているユーザーには合意を得ている状態だという。もし通知メッセージを受信したくないユーザーは、「通知メッセージを受信」設定をオフにすればいいという(個人情報の取り扱いがなくなるわけではない)。

メッセージには制限も

大変強力な機能だけに利用は制限されており、「広告を除く、重要性や必要性が特に高い、公共性の高いメッセージ」だけが通知されることになるという。例えば市役所などがこの機能を使うなら、光化学スモッグ警報など、従来なら屋外の防災無線などを使って送信されていたようなメッセージになると考えればいいだろう。企業であればリコール情報なども考えられる。個人情報を含んだ通知も送信されないということなので、行方不明の人の捜索などに使えるかは微妙なところだ。

  • 通知メッセージの利用は一定のルールに基づいて行われるため、公共性の低いメッセージが送られることはないとしている

発表会では「通知メッセージ」を利用する第一陣として、JAL、ANA、東京電力、中部電力、東京ガス、ヤマト運輸の6社が登壇した。いずれも航空会社、電力・ガス、宅配便といった公共性の高いサービスを提供する企業だ。通知メッセージの用途としては「飛行機の運航情報・遅延/欠航情報」や「予約確認」、「電気/ガス料金の確認と通知」、「宅配便の配送通知/受け取り確認」などが主となる。

  • ANAは予約時にLINE通知にチェックを入れることで、予約の確認やLINEトーク上でチケットのQRコードを表示できるといった機能を提供

  • 東京電力エナジーパートナーでは、LINE上から電気の使用量や電気代を確認できる機能を提供する

こうした通知機能はすでにアプリやウェブ、メール、あるいはハガキなどを通じて提供している企業も多いが、LINEの通知メッセージはDAU/MAUが多くリーチ率が高いこと、ペーパーレスによるコストダウンとエコなオペレーションにつながる点がメリットといえる。

  • 東京電力の例だが、LINEで電気料金の通知ができれば、年間約4800トンもの紙資源節約につながるという