将来的には運転席が空席でも走る車両に
ちなみに、今回の自動運転は車両側だけで制御しているわけではない。走行中の位置や状態をリアルタイムで把握可能な遠隔管制センターを設置しており、両社の技術を融合させた遠隔管制のテストも行うという。
警察庁は昨年、遠隔型自動運転システムの公道実証実験を許可すると発表。12月に石川県輪島市で電動カートを使った走行が最初に認められた。今回の遠隔管制センターもこの流れの中で導入したのだろう。将来的には運転席に誰も座らない無人運転を想定していることが分かる。
乗車中には走行ルート周辺のおすすめスポットや最新のイベント情報など、約500件の情報が目の前のタブレット端末に表示されるほか、店舗などで使えるお得なクーポンを40件程度、用意しているという。お気に入りのクーポンがあれば手持ちのスマートフォンに転送し、あとで使えるという仕組みだ。
体験走行は10分ほどで、クーポンを試す時間はなかったが、目的地設定のときを含め、既存のタクシーやライドシェアでは味わえない多彩なメニューを持っていると感じた。IT企業ならではの感覚が反映されていると思った。
実証で価格などを検討、2020年代早期には本格展開へ
3月5日からの実証実験中には、参加したモニター向けにアンケートを行い、乗車体験についての評価や周辺店舗と連動したサービスの利用状況、実用化した場合の想定利用価格などについて情報を収集し、今後の実証実験やサービス開発に活用する予定とのことだ。
もちろん、今回の実証実験が全てではなく、車両配置や多言語対応、サービス内容などの検討を続けつつ、2020年代の早い時期に本格的なサービス提供を目指していくという。
自動運転はこれまで、いつ導入するかという話題が多かった。その中で日産とDeNAは、その車両をどう使うかというテーマについて、コネクテッド技術を用いて踏み込んだ提案を行った。しかも、自動車を所有してもらうことが前提のメーカーとしては珍しく、シェア(共有)による価値を提言した。未来のモビリティシーンのためには、自動車メーカーとIT企業のコラボは大切だと痛感した。