日産自動車とDeNAが2月23日、無人運転車両を活用した交通サービスの実証実験を始めると発表した。「イージーライド」(Easy Ride)である。両社が組んだ理由とは何か。そして、目指すクルマ社会はどのようなものなのか。同乗走行の体験記ともどもお届けしよう。
手を組んだ両社に共通点
日産とDeNAには、自動運転に積極的という共通点がある。
2013年に日産は、2020年までに革新的な自動運転技術を複数車種に搭載する予定と発表。日本の自動車メーカーとしては、いち早く自動運転の実現に言及した。筆者は同時期に米国のテストコースで実験車に同乗。ステアリングに触れずにコーナーを曲がり、歩行者を模したボードが飛び出すとペダルを操作しなくても急停止するなど、当初から完成度の高さに驚いた覚えがある。
その後も日産は自動運転の研究開発を進め、2016年には高速道路の同一車線でアクセルとブレーキ、ステアリングの自動化を実現する「プロパイロット」をまず「セレナ」に搭載。その後は「エクストレイル」と「リーフ」にも採用した。
ちなみに日産は、このプロパイロットについて「高速道路同一車線自動運転技術」という表現を使っているが、現状では人間が運転主体である点でスバル「アイサイト」などと大差なく、筆者は運転支援技術と認識している。
自動運転で交わった日産とDeNAの進む道
一方のDeNAは、2015年にまず「ロボットタクシー」事業の新会社を設立。過疎化や高齢化の進む地域の高齢者や子ども、障がいのある方などの交通弱者に快適な移動をもたらすという目標を掲げた。
翌年にはフランスのITベンチャー「イージーマイル」(Easymile)と提携し、同社の無人運転小型バス「EZ10」に「ロボットシャトル」という名を与え、国内各地で実証実験を始める。続いて物流大手のヤマト運輸とも手を結び、「ロボネコヤマト」というネーミングで、自動運転社会を見据えた次世代物流サービスの実現を目指すと発表した。
そして2017年1月、両社は手を結ぶ。米国ラスベガスで開催された世界最大のIT展示会ともいわれるCES(家電見本市)において、日産はDeNAとともに、無人運転技術を活用したモビリティサービスの活用を進めていくと明言したのだ。
自動車メーカーとIT企業が別々に歩みを進めてきた自動運転分野が、次のフェーズに入ったということができるだろう。