最新テクノロジーも協業で価値が高まる
今年韓国で実施された平昌五輪でも、KTやサムスン電子などが5Gを活用したサービスを展開していたものの、標準化のタイミングなどもあり、あくまで試験的なものとなっていた。だが東京五輪が実施される2020年には、5Gの本格的な商用化が期待されている。それだけに、2020年に5Gがどの程度まで使えるようになっているのかは、大いに気になるところだ。
この点について吉澤氏は、「標準化が終わったことから研究開発をスタートしているところ。実際に工事などを進めるのは2019年になる」と答え、着々と準備を進めている様子を示す。
またエリアに関しては、2020年のサービス開始時点ではトラフィックの多い主要都市や、パートナー企業と連携を進めている地域などでのエリア展開を進め、そこから規模を広げていく考えとのこと。だが東京五輪の会場に関しても「メインとなる東京は積極的にカバーしたいと考えている」と話し、競技会場は可能な限り5Gのエリア化を進める考えを示した。
ただサービスに関しては「その時点では5Gに対応する端末自体があまり揃っておらず、インバウンド向けに5Gのサービスを提供することなどは難しい」とのこと。それゆえ東京五輪における5Gの活用は、主にスタジアム内でのサービスや遠隔地へのライブ中継、またあるいはパートナー企業とのB2B2Cによるサービス提供になってくると考えているようだ。
最後に、吉澤氏に現在興味を持っているテクノロジーについて聞いたところ、「データの相互利用でセキュリティを担保できる、ブロックチェーンとそれを活用したフィンテックは面白いと思っている。例えば弊社で現在、契約会員1人1人のデータを他の方と相互利用するデジタルマーケティングプラットフォームを春に提供しようとしているが、そういったものを業界同士、法人企業同士でデータ活用する仕組みをもっとやっていきたいと」と答えている。
NTTドコモは現在、タクシー会社と相互にデータを活用した「AIタクシー」を展開しているが、そうしたデータの相互活用をホテルや鉄道など、幅広い業種に広げることができれば、より面白い取り組みができると考えているようだ。
最近注目度が高まっている「AI」に関しても、NTTドコモ独自のAIエージェントサービスを春に提供するとしているが、「まだまだやれることはたくさんある。AIをブラッシュアップするのも自分達だけでできるわけではない。得意なところと協調、協創してやっていくことで顧客に社会的な価値を提供する」と話している。NTTドコモ自身がオープンなプラットフォームとなり、幅広いパートナーと手を組むことによって、最新技術の活用の幅をより広げていきたいというのが、吉澤氏の狙いとなっているようだ。