楽天モバイルとの関係は?

ひとつ気になったのは、現在ドコモのMVNOとして運営中の楽天モバイルとの関係だ。質疑応答で、MVNOのユーザーは設備の準備が整い次第、MNOへ移行するとの説明があった。

いうまでもなくドコモはすでに全国のかなり広い範囲で利用できる巨大なネットワークを持っており、800MHz、900MHzというエリア効率の高いプラチナバンドも保持している。しかし楽天が取得を目指す1.7GHz帯と3.4GHz帯はそこまでエリア効率が高くないため、ドコモ網を使っていた人が移行すると、「つながらない」と感じかねない。

このため、しばらくはMVNOとMNOの二本立て、端末によっては両社の回線をローミングして使えるような方法がとられるのではないかと見ている(2社の契約上問題がなければ、だが)。

プラン設定によっては台風の目となる可能性も

現在の楽天モバイルは、前述のようにMVNOではシェアトップの座を占めている。全国に200店舗弱ながら直接販売網も構築するなど、MNOとして展開する下地はきちんとおさえてきている。ネットワークエリアの狭さなど不安な要素はあるにせよ、ほかのMNO各社にないサービスが受けられるのであれば、案外ユーザーからの指示は得られるのではないだろうか。

特に料金プランのシンプルさは重要で、現在のように楽天ポイントで電話代を充当できるなら、一気に会員数を倍増する可能性もあるだろう。

また、楽天が拡大を計画する広告事業の分野でも、モバイルの占める重要度は高まっており、こうしたグループ内のシナジー効果が期待できるのであれば、楽天としては設備投資の金額も正当化できるのだろう。

いずれにしてもMVNOが一定のシェアを確保しつつも、まだまだMNO支配の構図が強い日本の携帯電話市場に、大きな変革をもたらす楔が打ち込まれるいい機会だ。楽天の思惑がどこまで通用するか、期待して注目したい。