3社連合では野心的な数値目標が先行

日産の無資格検査問題では、長年この検査不正が続いていたことで、17年間も日産の社長を務めていたカルロス・ゴーン氏の経営責任を問う声も出た。

日産はルノーの傘下に入ってからV字回復を達成し、国際アライアンスの成功例とされてきた。むしろ、V字回復後は日産がルノーを助ける構図ともなっている。2016年には燃費不正で窮地に陥った三菱自動車を助ける形で日産が資本提携し、三菱自は日産流経営手法の導入で業績V字回復の流れを作りつつある。

ゴーン氏がルノー・日産・三菱3社連合の会長として、2022年までの中期経営計画をパリで発表したのが2017年9月。3社連合は2022年に2016年比4割増の1,400万台を販売すると宣言したことに加え、2020年までにEV専用の共通プラットホームを用意し、中計期間中に12車種のEVを投入して「EVのアライアンスリーダーとなる」(ゴーン会長)と怪気炎を上げている。

一方で、今年に入り、ゴーン氏が約13年間務めたルノーのCEOを退任するとの報道が出ていたが、一転して続投することになりそうな情勢となった。だが、フランス政府は後継となるナンバー2を明確にするよう求めているという。

アライアンスの扇の要、日産の真価が試される

ルノーはフランス政府の意向を配慮しつつ、ライバルのPSA(プジョー・シトロエン)グループにも対抗していかねばならない。PSAはGMからオペルを買収したことで、昨年の欧州販売ではVWに次ぐ2位の座を確保している。また、三菱自動車は、今期中に黒字転換を達成し、V字回復に向かおうとする順調な動きを見せているが、持続的成長への体制づくりはこれからが本番だ。

  • 日産「リーフ」

    ルノーと三菱自動車もそれぞれの事情を抱える中、アライアンスの扇の要として日産の真価が試される

ゴーン氏の信頼が厚い西川日産社長としては、この3社連合で世界覇権を、とのゴーン氏の野望を実現していくためにも、日産の立て直し、現状打開を早期に図らねばならない。つまり、ゴーン経営の真骨頂と言われたコミットメント(目標必達)経営からの転換も迫られているのだ。「収益と成長のバランス」経営を打ち出した西川日産の経営手腕が問われる。