サービス部門はApp Storeから購読型サービスへ注目が移る
アップルはiPhoneのビジネスとともに、App StoreやApple Musicを含むサービス部門の売上高に注目している。2016年の売上高を2020年までに2倍に成長させる目標を持っている。
2018年第1四半期のサービス部門の売上高は84億7100万ドルで、Mac、iPad、その他の製品よりも多い、iPhoneに次ぐ売上規模2位の座を確実なものとしている。ホリデーシーズンなどの季節変動が少なく、しかし前年同期比18%増という数字を記録し、引き続き高成長を続けていることが分かる。
加えて、アップルは有料購読型サービスのユーザー数が2億4000万を超え、この四半期で3000万件増加したことも発表した。これにはApple Music、iCloud追加ストレージなどが含まれており、アクティブユーザー数13億人を抱えていることから、この数字は寄り増加していくことが見込める。
Apple Music単体では、The Wall Street Journalに対して3600万契約を達成したことを明らかにし、月間の成長率が5%となっていることがわかった。米国市場での協業となる音楽ストリーミングサービスSpotifyが3%成長であることから、The Wall Street Journalは2018年の夏には、Apple MusicがSpotifyを米国市場で追い越すことになると指摘している。
iPhone向けのアクセサリでも市場性がある
またサービス部門異常に著しい成長を遂げたのがその他の製品だ。売上高58億8900万ドルは全カテゴリで最も成長率が高い前年同期比36%増。Apple Watch、AirPods、Beats製品といったウェアラブル製品に限れば70%増を記録した。
Apple Watchも好調だ。最新のApple Watch Series 3は前年のSeries 2の2倍以上売れており、世界のあらゆる地域で2桁成長を記録する製品となっている。
Apple WatchはiPhoneユーザーのためのスマートウォッチであり、Androidユーザーは自分のスマホとペアリングして利用することができない。つまり、ウェアラブル製品としては、アップル自ら、販売台数の上限の枠をiPhoneユーザーに限定してしまっていることになる。
しかしApple Watchはスマートウォッチ市場でトップを走り続けており、年間1500万台以上の販売を実現してると見られる(アップルは具体的な数字を公表していない)。
AirPodsもAndroidで利用することはできるが、最大の性能を発揮する組み合わせの相手はiPhoneだ。しかしワイヤレスヘッドフォンでは最も大きな勢力へと成長し、需給も安定したことから、アップルのその他の製品の売上高に貢献する存在となった。
つまり、アップルのプラットホームに閉じたからといって、その製品が協業他社との競争に負けるわけではないことを表している。アップルが13億台というアクティブデバイスをアピールするようになったことは、アップルのエコシステム向けに製品をリリースすることの合理性の裏付けともいえる。
2月9日にアップルはホームスピーカー、HomePodを発売する。このデバイスは、iPhoneやiPad、Apple TVなどHomeKitがコントロールできるデバイスと、Apple Musicの契約を組み合わせなければ、アップルが描く体験を実現することはできない、アップルのエコシステムに閉じた製品だ。
それでも、現在増え続けているApple Musicの契約者が一定の割合でも購入すれば、すぐにこの分野のトップが取れる、と踏んでいるのではないだろうか。
総じて見ると、iPhoneだけで売上高をのばしていくことが難しくなっていくスマホ飽和時代に備えて、サービス、アクセサリといった製品を成長させてきたことが、今回の決算からうかがうことができる。