既にスマートフォン市場は成長限界
アップルは2016年に続いて、2017年もiPhoneを1年間に2億1000万台ほどのiPhoneを販売したが、どちらかというと販売台数が維持できた、という評価をすべきかもしれない。
IDCの調査によると、2017年第4四半期(10-12月)、世界のスマートフォン市場での出荷台数は前年同期から6.5%減少したという。トップ5メーカーはシャオミを除いて、いずれもマイナス成長を記録しており、ファーウェイ、オッポといった中国メーカーが下落を牽引する形となっている。
アップルは前述の通り、2017年第4四半期のスマートフォン販売では1%減にとどめ、スマートフォンメーカーとしては最大の出荷台数を記録し、また販売期間が他のデバイスより1カ月短いiPhone Xが最も売れたスマートフォンの座を勝ち取った。
しかし、スマートフォン市場が今後上向くとの見通しも立てにくい。「iPhone X」特需の恩恵に授かったアップルも、2018年第2四半期(1-3月)の売上高等のガイダンスはアナリストの予想を下回る弱気を見せた。
反応が鈍かった中国市場
アップルの決算の中で、中国市場の回復の遅れが気になる。
中国市場はiPhone 6発売で爆発的に売上高が伸びてから、長期にわたる調整局面を迎えていた。2017年には前年同期比割れを食い止め、2018年第1四半期も前年同期比からプラス成長となった。
それでも、中国の売上高は前年同期比11%増。iPhone Xに最も反応したのは17%増となったアジア太平洋地域と、26%増と大幅に増加した日本市場。特に日本市場は、iPhone 8、iPhone 8 Plus発売が含まれる2017年第4四半期には前年同期比11%減を記録していただけに、iPhone X待ちが顕著だった、とふりかえることができる。
中国は2月16日に春節を迎え、消費も活発化するとみられる。ここでiPhoneの新製品ラインアップがどのように受け入れられるのか、引き続き注目していく必要がある。
平均販売価格は100ドル上がった
アップルのiPhone X投入のタイミングは、スマートフォン市場のマイナス成長が始まるタイミングとピタリと一致している。アップルはiPhone Xを、製品10周年となる2017年にリリースできたことに計画性があったわけではないとの話もする。
その一方でスマートフォンの販売台数が減少する中で、売上高全体の7割を占めるiPhoneビジネスからいかに収益を確保するか、という「正しい戦略」を淡々と実現した姿が浮かび上がる。
iPhoneの売上高から販売台数を除した平均販売価格は796.42ドル。iPhone 7シリーズを発売した前年同期は約695ドルであったことから、iPhone X投入で100ドル上昇させることに成功した。もちろん、2018年には5.8インチ有機ELディスプレイ搭載のiPhoneを値下げすることになるだろうから、この約800ドルという価格は一時的な最高値になる可能性が高い。
しかし、販売台数が今後伸びない市場環境の中で、平均販売価格を高めて売上高を確保するチャレンジに成功した、とふりかえることができる。