KDDIは1月31日、現社長の田中孝司氏から、現副社長の高橋誠氏に社長を交代することを発表した。業績好調のKDDIがなぜ今、社長交代を発表したのだろうか。そこには楽天の携帯電話事業参入と、ある意味で共通する考えがあるようだ。
業績が好調ながら社長交代を決めた理由とは
1月31日、2018年度3月期第3四半期を発表したKDDI。同日に実施された決算説明会では、今四半期も売上高が前年同期比6.8%増の3兆7600億円、営業利益が4.9%増の8138億円と、引き続き増収増益を記録するなど好調な様子を見せていたのだが、その直後に実施された記者会見が、大きな驚きをもたらした。
なぜなら、KDDIが突如社長を交代すると発表したからである。現在代表取締役 執行役員副社長を務める高橋誠氏が、新たに代表取締役社長となる一方、現在の社長である田中孝司氏は代表取締役会長になるという。この人事は4月1日に実施されるとのことで、4月からは高橋氏による新たな体制の下で事業展開がなされることになる。
だが先にも触れた通り、KDDIの業績は非常に好調で、ここ最近の懸念であったMVNOへの顧客流出にも歯止めがかかりつつある。しかも現在、KDDIは3カ年の中期計画を遂行している最中であり、社長が交代する4月からは、中期計画の最終年度を迎える重要な年度でもある。にもかかわらず、なぜKDDI、ひいては田中氏は社長交代を決断したのだろうか。
その理由について田中氏は、会見の席で「4月からの新年度は中期計画の最終年度であると同時に、次の中期計画を決める非常に重要な1年だと思っている」と話す。新しい中期計画は現在の体制ではなく、新社長による新しい体制で決めるべきとの判断から、このタイミングでの社長交代を決めたようだ。
だが前任の小野寺正氏から、田中氏へと社長交代がなされたのは、2000年にKDDIが誕生してから10年目の節目を迎えた、2010年であった。田中氏が社長に就任してからまだ7年しか経過していないだけに、現在の好業績をバネに次の3年の事業を自ら推し進めても大きな問題はなかったようにも見えるのだが、なぜ田中氏は自分で次の体制を決めるのではなく、高橋氏に次を任せる判断をしたのだろうか。そこには携帯電話事業参入に参入する楽天と、ある意味で共通した考えがあるようだ。