App Storeは2008年の開設以来、200万本以上のアプリを揃え、100円から数万円までの価格レンジでアプリが販売されている。例えば日本では、3,000円を超えるような辞書アプリもよく売れているほか、5,000円に近い生産性アプリも、iPhoneとiPadの双方で対応する特徴を活かして、販売を伸ばしている。
また、毎月、あるいは毎年の定期購読アプリを、あらゆるカテゴリで設定可能とした。期間や価格の自由度を高めることで、アプリのビジネスモデルに合ったプランを作れるようになったことで、この分野でも売り上げを伸ばすのに成功している。
これまではアプリ開発者が定期購読モデルをビジネスに導入しようとすると、自分で課金サービスを構築し、集金やサポートをApp Store外で行わなければならなかった。App Storeの購読システムの自由度が高まったことで、小規模な開発者でも定期購読型のアプリを手軽に開発できるようになるのだ。加えてAppleも手数料収入が得られ、と、プラットフォーマー、デベロッパーともに旨みのあるビジネスモデルを構築できている。
特に大きなユーザーを抱える生産性アプリは、定期購読モデルへの移行を始めている。App Storeのルール上、一度有料購入した既存のユーザーからは新たに課金することができず、最初の購入時以降の収入が得られない。そのため、バージョンアップ時の新機能の魅力で新規顧客獲得を競うことになり、その開発費は増大し、既存顧客へのメリットを作り出せずにいた。対して定期購読モデルは、結果として既存ユーザーを大切にできるようになるので、こちらを選択した方が持続的にアプリ開発を行えるようになるというわけだ。
Appleが各開発者のビジネスモデルのあり方に口を出すわけではないが、有力なアプリを購読モデルへと移行させる流れは2018年も続いていくことになるだろう。ちなみにApp Storeでは既に、1年以上継続しているユーザーの定期購読料について、30%から15%に引き下げるインセンティブを付けている。