2018年2月11日からスタートする新番組『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のキャスト披露イベントが1月12日、都内で行われた。本作は、1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』を第1作とする「スーパー戦隊」シリーズの第42作目にあたる作品だが、従来のシリーズとは作品の構造そのものがガラリと変わり、作品中に対照的な2つの「戦隊」ヒーローチームが登場し、お互いが対立し合う「VS」という非常に斬新なスタイルが各方面で話題を集めている。

  • 左からパトレン3号/明神つかさ役の奥山かずさ、パトレン2号/陽川咲也役の横山涼、パトレン1号/朝加圭一郎役の結木滉星、ルパンレッド/夜野魁利役の伊藤あさひ、ルパンブルー/宵町透真役の濱正悟、ルパンイエロー/早見初美花役の工藤遥、謎の執事・コグレ役の温水洋一

「VS」が作り出す化学反応

カラフルに彩られた変身ヒーローのチームが、それぞれの得意分野や持ち味を生かしつつ、チームワークを最大の武器にして巨大な悪と戦うのが「スーパー戦隊」の基本姿勢。これまでの「スーパー戦隊」はこの骨子の部分を忠実に守り続けながらも、一方で時代背景や世間の流行に合わせてメンバーの個性や作品の世界観、基本設定などを大胆に変化させることによって、長期シリーズの宿命ともいうべき"マンネリ"に陥ることなく、常に感覚を研ぎ澄ませた斬新さを持つ作品作りが保たれている。

今から22年前となる1996年にリリースされた『超力戦隊オーレンジャー オーレVSカクレンジャー』(監督:東條昭平)は、1995年に活躍した『超力戦隊オーレンジャー』と、その前年・1994年の『忍者戦隊カクレンジャー』が豪華共演を果たした、スーパー戦隊シリーズ初のVシネマである(当時はビデオソフトとして販売・レンタルが行なわれた。現在はDVDソフトが販売中)。この作品が好評を博したため、毎年のテレビシリーズ終了後か、あるいは終了間際に前年の戦隊との共演Vシネマ、すなわち「VS」シリーズが作られることになったのだ。2009年の『炎神戦隊ゴーオンジャーVSゲキレンジャー』より、Vシネマ発売に先がけて劇場公開が行なわれるようになり、昨年1月にも『劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』が公開された。

「VS」といっても2つの戦隊がお互いを潰し合うまで戦うというわけではなく、基本設定もチームの特色もまったく異なる2つの戦隊が時に激しく争い対立しながらも、共通の巨大悪に対して一致団結し、2大戦隊のパワーを結集して戦いに挑むという「共闘」の部分に重きが置かれ、戦隊間の友情や絆が大きなテーマなのはどの作品にも共通している。「VS」シリーズは、通常のスーパー戦隊シリーズの2作ぶんのエッセンスを融合させたスペシャルなドラマ作りと、それぞれの個性を組み合わせたときに起きる「化学反応」のユニークさを楽しむ、非常にぜいたくな作品だといえよう。

そんな「VS」シリーズの醍醐味、すなわちまったく個性の違う2つの戦隊がお互いに争い、激しく戦いながらも、本当に倒すべき敵に対しては共に力を合わせる……といった特別なキャラクターシフトを、テレビのレギュラー放送でやってしまおうというのが、『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』のコンセプトだと思われる。

異世界から来た犯罪者集団・ギャングラーに奪われた宝物「ルパンコレクション」を取り戻すため、謎の執事コグレにスカウトされた3人の若者は"快盗チェンジ"で「快盗戦隊ルパンレンジャー」となり、ギャングラーに戦いを挑む。一方、ギャングラーから人々を守るため、国際特別警察機構戦力部隊の3人は"警察チェンジ"で「警察戦隊パトレンジャー」に変身。彼らにはルパンコレクションを押収し、人類の未来に役立てようする任務があり、これを邪魔するルパンレンジャーとは対立する立場にある。同じ敵(ギャングラー)と戦い、同じ獲物(ルパンコレクション)を取りあう2つの戦隊は、まさに宿命のライバル。毎回がクライマックス、毎回がデラックスな、過去に例のないまったく新しいスーパー戦隊シリーズのスタイルがここに誕生した。