さまざまな影響が顕在化してきた気候変動
背景にあるのは、温室効果ガスによる気候変動が現実のものとして感じられるようになってきたこと。また、都市での大気汚染が進み、健康被害が全世界的に起きてきていることの2つがある。
気候変動では、気象庁は先ごろ、海の酸化が進んでいると発表し、警鐘を鳴らしている。海には温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を吸収する能力があるが、大気中のCO2濃度が増したことにより、本来は弱アルカリ性であるべき海が酸化し、CO2の吸収力が衰える可能性があるというのである。また、海の酸化によってプランクトンの減少やサンゴの白化などが起こり、生態系に影響を及ぼす懸念がある。これらは、人間にとって食料確保に影響が出る可能性も示唆している。
他にも、すでに海の温度は1度ほど上がっているが、なおかつ海面だけでなく海中でも温度上昇が始まっており、それによって北上した台風の勢力が衰えず、従来は台風が上陸しなかった北海道へも台風が到達するといったことが現実となっている。
人口集中で深刻化する都市部の大気汚染
大気汚染については、すでにパリが北京と変わらない状態まで深刻化しているとの話があり、インドは中国を上回り、微小粒子状物質(PM2.5)は世界保健機構(WHO)が推奨する基準の70倍に達するともいわれる。PM2.5の増加は呼吸器系疾患や肺癌の懸念を生じさせる。特に、乳幼児がPM2.5を取り込むと、脳に障害を受ける恐れがあるとの報告をユニセフは行っている。
国際連合は、2030年には世界人口の60%が都市部に住むとの推計を出している。すでに大都市では大気汚染が発生しているが、このまま排ガスを出すクルマが増え続ければ、例え排ガス浄化を行っていても、排出ガスの総量は増えることとなるので、大気汚染の抑制は難しくなる。
気候変動をすぐには実感してこなかった人々も、大気汚染をいよいよ目の当たりにし、クルマの電動化を要望する消費者の声が大きくなってきているというのが実情だろう。そこで、政府も動き出し、自動車メーカーも本腰を入れることになったという図式である。
そして、その具体策が問われるのが、2018年ということになる。