メーカー同士も電動化を軸に連携
一連の世界情勢の急変が、自動車メーカーの経営にも影響を及ぼした。国内ではEVに懐疑的であったトヨタ自動車とマツダが提携し、これにデンソーを加えてEV開発の新会社を設立することになった。続いてダイハツがその新会社への参画を表明し、スズキも参画を検討することとなった。差し当たり、インド市場へ投入するEVについては、トヨタとスズキが提携に合意している。最近の動きとしてトヨタは、パナソニックと車載用電池の協業検討で合意し、2030年にはハイブリッド車(HV)を含む電動車両550万台以上を売るとの目標を打ち出した。
日産は、すでに三菱自動車との提携の中で、EVの共同開発の動きがある。孤軍奮闘に見えるホンダは、日立オートモーティブシステムズと駆動用モーターの開発・生産で合弁会社を設立している。
海外へ目を転じてみれば、メルセデス・ベンツのダイムラーは、2022年までに10車種以上のEVを投入するとし、BMWは「MINI」のEVを2019年に製造開始するとともに、SUV「X3」のEVを2020年に発表予定としている。同時にBMWは、全てのブランドの全ての車種に、EVまたはプラグインハイブリッド車(PHV)をラインアップできる次期車両構造を採り入れることを表明した。フォルクスワーゲンは、2025年までに30車種以上のEVを投入し、電動化のリーダーになることを表明している。
数値目標を掲げ電動化に積極姿勢を示す海外勢
この他、欧州域内ではスウェーデンのボルボが、2019年以降に発売する全ての車種をEVやHVにすると発表している。フランスのPSA(プジョー・シトロエン・オートモビル)は、エンジンとモーターの双方を搭載可能なマルチプラットフォームを検討しており、また最近では、日本電産とモーターの生産・販売で提携を結んでいる。フランスのルノーは、日産との提携を通じてすでにEV販売を行っている。
米国ではゼネラルモーターズ(GM)が、今後1年半のうちにEV2車種を投入するとともに、2023年までにEVまたは燃料電池車(FCV)を少なくとも20車種発表するとしている。フォードはエンジンへの設備投資を3分の1に減らし、これを電動化の資金に回しながら、電動化の専門部署を立ち上げ、今後5年間に新型電動車両13車種を市場投入するという。
EVをカリフォルニア州内へ向け開発しなければという1990年代の自動車メーカーの考えと、現在販売する新車の全てを電動化しようとする今回の動きとでは、規模も意気込みも異なる。ガソリンエンジン車が誕生した1886年から131年目となった2017年は、自動車の動力源の概念を大きく変える節目の年になったといえるだろう。