AppleはiTunesによってCDからデジタル配信へと音楽の購入方法を変化させた。そしてSpotifyに遅れを取りながらも、Apple Musicによって購読型の音楽ストリーミングサービスへの移行を急いでいる。最新の数字では、Apple Musicの有料会員数は3,000万人を突破した。
AppleはApple Musicを、音楽ビジネスの「場」にしようとしているのだ。iTunesはあくまで、CDという媒体をデジタルデータに置き換え、そのストアをオンラインに移設したに過ぎず、レコードメーカーのプロモーションはこれまでのようにテレビやラジオを通じて行われていた。それに対して、Appleは音楽ビジネスについて、Apple Musicでプロモーションから配信から収益化、ファンの獲得、コミュニティ形成までを実現する「場」として育てようとしているのである。
その施策の一環として、音楽のトレンドを作り出すラジオを、Apple Musicの目玉機能として取り入れた。オリジナル番組Beats 1は、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンを拠点に24時間放送を提供している。
またアメリカでは、大人気番組「Carpool Karaoke」のApple Musicオリジナルバージョンを制作し、配信を行っている。この番組はテレビ放映時、歌われた楽曲が軒並みチャートインする話題性の高いコンテンツであり、Appleが独占配信することで、Apple Musicのカタログ試聴の活性化に結びつける狙いがある。
そして日本でも、シンガーソングライター小沢健二ナビゲートの Apple Musicオリジナルの音楽番組「Tokyo, Music & Us 2017-2018」がスタートした。音楽とアーティスト、その周辺にかかわるもの全てを、Apple Musicが内包することで、音楽ビジネスとカルチャーの「場」として存在感を高めている。