こうした特性ゆえ、ミシュランのスタッドレスタイヤは降雪地帯以外でも幅広い支持を集めている。そこで筆者も、最新作X-ICE3+を自分の愛車であるシトロエン「C4カクタス」に装着し、雪が降り積もる新潟で性能をチェックしてみた。

  • シトロエン「C4カクタス」の画像

    愛車シトロエン「C4カクタス」でミシュラン「X-ICE3+」を試した

ミシュランの最新作でシトロエンを走らせてみた

東京から新潟県の入り口にあたる越後湯沢までは、関越自動車道で約2時間掛かる。その間は時速80~100キロでの高速巡航が続く。しかしX-ICE3+は、良い意味でスタッドレスタイヤであることを感じさせない。

とりわけ好感を抱いたのはステアリングの反応で、終始カチッとしていて正確だった。高速コーナーでのマナーも、いかにもタイヤの剛性が高い感触で、不安感はない。ノーマルタイヤと同じ印象のまま2時間を過ごすことができた。

越後湯沢の市街地は除雪が行き届いているので、ノーマルタイヤでも問題なく走れそうだ。しかし、周辺の山道に入ると状況が一変する。

日が当たっている場所は路面が乾いているのに、日陰になると突然、路面が白くなる。コーナーを曲がった先が真っ白ということもあり、一瞬たりとも気が抜けない。しかも路面を見ると、表面が光っている。アイスバーンになっていることが想像できる。

クルマを路肩に止めて歩いてみると、やはり凍結していた。気を抜くと転倒してしまいそうなほど滑る。ここで改めてX-ICE3+の性能に驚かされた。ツルツルの路面で平然と加速し、曲がり、止まっていたのだから。

  • シトロエン「C4カクタス」の画像2

    アイスバーンでも加速し、曲がり、止まる

写真の下り右コーナーもアイスバーンに近い状況だった。ノーマルタイヤではブレーキを踏もうがステアリングを切ろうが反応せず、そのまま雪壁に激突となっていただろう。X-ICE3+はこうした状況でも、コーナー入口でブレーキを掛ければ確実に減速し、ステアリング操作に対して向きを変え、出口が見えたところでアクセルを踏むと加速していった。

ますます重要性を増すスタッドレスタイヤ

スタッドレスタイヤとて万能ではない。床がつかえてしまうほどの大雪では能力が発揮できないし、凍結した道で思い切りブレーキを踏めばABSが作動する。しかし、急のつく運転をしなければ、歩くことも満足にできないアイスバーンを確実に走破する。マジカルという言葉を使いたくなるほどの性能だ。

東京も3年前には2度の大雪に見舞われ、スリップ車両が続出した。異常気象が続く現在、温暖な地域でもいつ大雪に見舞われるか分からない。クルマで日常的に移動する機会の多い人は、やはりスタッドレスタイヤの装着を前提として欲しいし、その場合にはやはり、技術も経験もあるミシュランがお勧めであると痛感した。