ウインタードライブの必需品と言えるのがスタッドレスタイヤ。なぜスタッドレスタイヤは雪に強いのか。実際に走った結果はどうなのか。日本で初めてスタッドレスタイヤを発売したミシュランの最新作でテストしてみた。
気温の割に雪が多い日本、冬の路面はどうなるか
今年もまた雪の季節がやってきた。スキーやスノーボードなどのウインタースポーツが好きな人は、シーズン到来と心踊らせているかもしれない。しかし同時に、雪道ドライブという難題に直面する季節でもある。
日本は緯度や気温の割には雪が多い国だ。数年前に海外メディアが発表した統計によれば、人口10万人以上の世界の都市で積雪量が多いのは1位青森市、2位札幌市、3位富山市だった。
ここで注目したいのは気温が高めということ。雪道が滑るのは、雪や氷と靴やタイヤの間に水の膜が存在するためだ。北極圏のようなマイナス数十度にもなる地域では、この水の膜ができないので、むしろ滑らないという。
気温が高いと雪が溶けやすい。雪が解ければ水になり、再び寒くなれば氷になる。道路ではクルマが繰り返し通ることで硬くて平らな圧雪路になり、昼夜を経て氷に変わる。これがアイスバーンだ。
日本は世界一滑りやすい雪道がある国かもしれない。だからこそスタッドレスタイヤが必須と言えるのだ。
スタッドレスのメカニズムを復習
スタッドレスタイヤはなぜ滑りにくいのか。理由はトレッド面(接地する部分)に細かく刻まれた「サイプ」と呼ばれる細かい溝にある。このサイプが路面の水分を吸い取ることで、タイヤと路面が接するようにしている。さらに加減速やカーブでタイヤに力が加わると、サイプがエッジに変わる。これが路面を掻くことでグリップ性能を発揮できるという仕組みなのだ。
東京のように雪があまり降らない地域に住んでいる人は、チェーンで十分と思うかもしれない。しかしチェーンは舗装路では乗り心地が悪いし路面も傷める。関越自動車道の関越トンネルのように、金属チェーンは入口で外し、出口で装着するというルールの場所もある。クルマで移動する機会が多い人は、スタッドレスタイヤのほうが便利で快適であることが分かるだろう。