さて、ではどの産地のワインがシリーズ化されたのか。シリーズ化されたのは全部で6酒類。フランス・ボルドーの赤、イタリア・キャンティの赤、ドイツ・リースリングの白、オーストラリア・シラーズ/ヴィオニエの赤、チリ・カルメネールの赤、そして日本・甲州の白だ。つまり、シリーズ全種を飲めば、おおよそ世界の産地のワインを味わえることになる。

  • 上左:ボルドーとシャンティ、上中:リースリング、上右:シラーズ/ヴィオニエ、下左:カルメネール、下中:甲州、下右:商品説明会はワインワークス南青山で行われた

価格はキャンティが税込み1,440円、甲州が税込み1,780円、そのほかが税込み1,380円という設定。セブンでよく売れるという400~700円のワインに比べると、確かに高い。だが、ワイン中級者以上を満足させるには、品質にこだわらなくてはならず、この価格帯になるのは仕方のないことだろう。事実、上條氏は「もっと高額な設定でもよかったが、グッと価格を抑えた」と話す。

ワイン初心者を中級者に引き上げられるか

このシリーズは、単にワイン中級者にリーチするだけが目的ではないと考える。安価なワインが普及したことで“デイリーワイン”を楽しむ初心者層の裾野が広がった。こうした層のなかからいかに中級者を生み出すか……、その役割も課せられていると思う。そのための仕掛けがいくつかみられる。

まずラベルだ。6種類それぞれ産地が異なっているが、ラベルに統一感が持たされた。各国の国旗をあしらい、どこ産のワインなのか視認しやすい。サントリーの三宅氏は、「各国の異なるワインに統一感を持ったラベルが貼られるのは初めてではないか」と話す。ワインは欧文のみのラベルが多い。格調高さは感じるが、次に同じものを購入しようと思っても、「これだったかな?」と迷ってしまうことがある。その点、国旗を使ったラベルなら選びやすい。

続いて、各国の有名ワイナリーから仕入れているが、それぞれ日本のユーザー向けに醸造されていること。これまで、中高級ワインは海外で販売されていたものを、そのまま日本に輸入するスタイルだった。だが、海外と日本では食材や生活様式が異なる。特に調味料に関しては、醤油、味噌、みりんなど、日本独自なものが多い。さらに、日本人は食材のうまみを楽しむ傾向がある。そうしたうまみを打ち消さない、日本の食卓、味覚にあったワインに醸造してもらったとのことだ。