ボルボのSUVにカジュアルな雰囲気の“末っ子”が誕生
そんなXC60に弟が生まれた。今年9月に発表された「XC40」だ。日本には来年の初夏に上陸すると言われるこの新型車に、スペイン・バルセロナで行われた国際試乗会で乗ることができた。
XC40のサイズは全長4,425mm、全幅1,863mm、全高1,652mm、ホイールベース2,702mmで、長さはトヨタ自動車「C-HR」やスバル「XV」と同等だ。そのスタイリングは、XC90からXC60につながる流れを受け継ぎながら、車格にふさわしくカジュアルな雰囲気も身につけていた。
サイドウインドー後端のキックアップはさらにダイナミックだし、ボディサイド下部の抉りも明確で、同じモチーフを前後のフェンダーにも入れることで、よりアクティブな雰囲気になっている。
さらにルーフを塗り分けた2トーンカラー、クラシックな雰囲気を醸し出すプレーンなリアパネル、カーペットにオレンジを用いたインテリアなど、ボルボとしてはかなり遊び心あふれるデザインにまとめてあった。
ボルボでは3つのシリーズを靴にたとえており、90シリーズは革靴、60シリーズはスエードのシューズ、40シリーズはスニーカーをイメージしている。たしかにXC40はボルボのスニーカーという雰囲気がする。
「XC60」以上の注目車に? 日本では400万円以下で登場
メカニズムでは、XC90やXC60が用いるSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)とは異なる、小型車用プラットフォームCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を初採用していることが特徴だ。
これの出来がXC60に劣らぬほど素晴らしかった。小型車用ということで安っぽくなっているかと思ったが、さにあらず。乗り心地はボルボらしく穏やかでしっとりしており、長距離をリラックスして走ることができる。そのうえでXC60より短いホイールベースのおかげで、身のこなしは軽快になった。
エンジンは2L直列4気筒ガソリンターボの「T5」とディーゼルターボの「D4」があり、いずれも8速ATを組み合わせたAWD(四輪駆動)だ。ボディがXC60より100キロ以上軽いこともあり、ガソリンでも加速は十分。ディーゼルはさらに力強く燃費にも優れるけれど、エンジンの軽さを含めた車体とのバランスではガソリン車が好ましいと思った。
ボルボ自慢の安全装備も、時速140キロ未満でステアリングアシストを含むアダプティブクルーズコントロール、交差点などで出会い頭の衝突を防ぐべく搭載された衝突被害軽減ブレーキなど、上級車種に遜色ないレベルになっている。
こうした内容の北欧製SUVが、日本でも400万円以下で手に入る。日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたXC60以上に注目を集める存在になりそうだ。