月額490円は妥当なのか?
au HOMEは月額490円のサービスだが、たとえばGoogle Homeが提供する音声アシスタントや対応機器との連動は、別にau HOMEに加入していなくても誰でも無料で利用できる部分だ。iOSであればHomeKitに対応していれば、「ホーム」アプリで対応するIoT機器を一元管理できるし、音声アシスタント「Siri」や、ジオフェンスなどの条件を使ったコントロールも可能だ。多少ITリテラシーの高いユーザーであれば、「わざわざ490円も払わなくてもいいよ」と思うだろう。
実際のところ、au自身が「いつもの暮らし、ちょっと便利に」というキャッチコピーを付けているように、au HOME対応機器だけでできることはかなり限られている。たとえば現状、外から鍵の開閉はチェックできても、鍵を閉めるのは家に戻って自分でロックしなければならないのだ(Google Homeと対応機器を使えば可能)。これでは「ちょっと便利」というには少々厳しい。
ユーザーから見た場合、au HOMEの価値は「対応機器を一箇所で、遠隔地からでも統合管理できる」「セコムと連動したセキュリティ機能を利用できること」「取扱説明書をアプリ上で確認できる」に集約されるだろう。リテラシーの低いユーザーにとっては訪問設置サポートなども心強いサービスではあるだろう。このうち対応機器の管理と取説の確認はau HOMEだけの特権ではないので、ほとんどセコムの契約料+サポート料金に等しい。
個人的に提言したいのは、au HOME対応製品をもっと増やすことと、それらを販売ではなくリース契約にして、もっと大きなパッケージとして提供することだ。ホームIoT製品は市場が立ち上がったばかりなので、次々に新製品が登場してくるだろうし、常時作動しているという特性上、故障なども心配だ。リース契約として故障品は無償または安価に交換でき、新製品への交換も可能、セキュリティ系の機器は1台だけでなく数台をパックにできる、といった形で、月額1980円くらいのプランを用意できれば、料金的にもお得感が出るし、使ってみたいという人は増えるのではないだろうか。
ホームIoT市場は、AIやロボットといった要素も入り混じり、これから本格的な競争が始まる激戦区だ。インターネットへの回線を握っているキャリアがそこで一定の立ち位置を得ること自体は難しいことではないし、ライバルに先んじて市場に参入したKDDIはかなり有利だと思われるが、同時に厳しいユーザーの目に叶うためには、囲い込みをするならするで、納得してもらえるようなお得さを打ち出していかねば、すぐに見限られてしまうだろう。GoogleやAmazonといった巨人たちに飲み込まれてしまわないよう、日本のユーザーに響く施策を打ち出せるのか、興味深く見守りたい。