今回の発表では、前述のように「auひかり」以外でも利用できるようにしたほか、Googleの「Google Home」との連携も実現した。これにより、Google Homeと接続できるホームIoT機器も制御できるようになるほか、音声による制御が可能になっている。
また、来年春をめどに、「au HOME」アプリ内で家電の取扱説明書を検索・閲覧できるサービスが実装される予定。これは株式会社トライグルの「トリセツ」と連携したもので、消耗品をオンラインで購入できるようにもするという。これはau HOME非対応の機器の取説も利用できるとのことなので、実現すれば確かに便利さを感じられそうだ。
キャリアがホームIoTに注力する理由は
スマートスピーカーの市場投入で一気に加熱し始めたホームIoT市場だが、これまでビジネス向けのIoTに注力してきていたキャリアも、ここにきてホームIoTへの動きを活性化している。
NTTドコモは、ホームIoT向けにIoT機器同士を一元管理・操作できる「デバイスWeb API」技術を開発し、実証実験「未来の家プロジェクト」を横浜市で実施中だ。またソフトバンクは2016年3月より「Softbank Innovation Program」の結果として、スマートホーム領域でリノべる、KAMARQ HOLDINGS、アッサアフロイジャパンらと共同でテストマーケティングを実施している。
とはいえ両社とも、まだ本格的な活動とは言い難い。こと家庭向けに関していえば、KDDIはこれら2社と比べ、一歩か二歩先んじている状況だ。それではなぜ、キャリアがホームIoT市場を狙うのだろうか。
その理由として考えられるのが、ひとつが家庭内での個人の行動パターンなどのビッグデータ取得、もうひとつがユーザーの契約長期化効果だ。特にセキュリティ関連は自宅の安全と紐づけられるので、データを入手するにせよ、契約を長引かせるにせよ、大きく役立ってくれる。
ただし現状、au HOME対応製品はある程度の行動データを入手できるものの、そこに接続されたGoogle Homeやその先のデータまでは入手できない。こうしたデータはGoogleにとっても宝の山であり、簡単に他社に渡すつもりはないだろう。ということは、au HOMEはその対応機器が大きく増えるのでない限り、ARPUを増やしユーザーの解約率を減らすための施策の一つというのが主たる目的だと言えるだろう。