速度制限から見るクルマの使用条件
速度無制限区間のあるアウトバーンを走るドイツ車は、高速性能という点で世界屈指だろう。だが、公道における速度無制限など、世界のどこにも他に例がなく、特殊な環境だ。一方、米国の速度制限は国内のそれに近く、すなわちクルマの使用条件が日米では似ている。
もちろん、道幅や路地の有無、あるいは舗装の違いなどはあるが、似たような条件で走ることを視野に開発すれば、おのずと日米で乗りやすいクルマとなっていくのである。ただし同時に、世界的に売っていく車種として、高速性能も満たしている。それがXT5である。
さらに、後席の快適性が特筆すべき点だ。後席は床へきちんと足を下ろして座れる座席の高さがあり、腿を座席で支えることができるので、走行中も体が安定する。クッションの硬さも適度だ。さらに、天井ほぼ一杯にシェードを開けることで空を見上げることのできる「ウルトラビューパノラミック電動サンルーフ」には、息を呑むだろう。そもそも、ガラスサンルーフという発想を生み出したのは米国だ。
操縦安定性は一新、変わる“アメ車”のイメージ
4ドアセダンの「CTS」が2003年に誕生して以降、キャデラックは単なる国内車種ではなくなり、かつて“アメ車”と国内で揶揄されたような、操縦安定性は二の次といったような乗り味ではなくなっている。その後、ドイツ勢を追うような運転感覚が目指されたが、ここに来て、“新生アメリカ車”とでも言うべき独自の新しい乗り味を実現していると感じる。
もはや、国内でドイツ車に乗る意味はどこにあるのかとさえ思わせる最新のキャデラックに、ぜひ乗ってみるべきだ。
25万台の国内ラグジュアリー市場を主眼に、成熟した国内市場のコア層(中核となる顧客)との接触を重視した経営戦略を進めるゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)は、左ハンドル車のみの輸入となっているが、日本での人気が右肩上がりで推移するならば、再び右ハンドル車の輸入がかなうかもしれない。
まずは最新のキャデラックを見て、運転してみてはどうだろう。目から鱗が落ちること間違いなく、クルマの選択肢が広がるに違いない。