音と振動で伝えるクラリオンの「インフォシート」

クラリオンは十勝で自動車用HMIのデモを実施。クルマからの情報をシート経由でドライバーに伝える「インフォシート」という技術を体感できた。

まず、インフォシートのヘッドレストにはスピーカーが内蔵されている。クルマを運転している時、ナビの音声ガイダンスが入ると、音楽やラジオが自動的にミュートされることがあるが、クラリオンのインフォシートは、ドライバーにだけ必要な情報は運転席のヘッドレストから伝える。この機能があれば、同乗者は音楽やラジオを邪魔されずに済む。

インフォシートのもう1つの特徴は振動の機能だ。例えば車線を逸脱した時、インフォシートはブルブル震え、音声およびLED表示と合わせてドライバーに危険であることを知らせる。音響技術のクラリオンが振動技術の出来栄えに胸を張る理由が気になったが、説明員から「音も振動なので」と聞いて納得できた。クラリオンCTOの國井伸恭執行役によると、音だけで知らせるHMIでは「うるさくて」機能自体をオフにしてしまうドライバーもいるらしいが、振動との組み合わせや使い分けといった手法により、その不快感は減るかもしれない。

HMIのデモ車両と開発者の皆さん

“伝える力”がクルマ選びのポイントに?

その振動を生み出すのが、シートに内蔵された2つのデバイスだ。これはモーターではなく、コイルを使った特別なデバイスなのだという。たった2つのデバイスで生み出す振動だが、体感した感想としては、前後左右、そして背中から腿の辺りと振動する場所が変わることに加え、その強弱が自在であることにも驚いた。

自動運転レベル3でクルマが人に運転を引き渡す場合、どのように知らせるかは難しい問題だ。警告が過剰だと不快だし、過小だと気付かないおそれがある。自動運転が普通になった時、そのクルマに気の効いたHMIが搭載されているかどうかは、購入者の評価ポイントの1つになるだろう。気の効いたHMIを求める自動車メーカーが、インフォシートの“伝える力”に注目する可能性もありそうだ。

見た目に特徴はないが、これがデモ車両に搭載された「インフォシート」だ。ヘッドレストのスピーカーは、右耳だけに「右に曲がって」と伝えるような使い方もできる

そして十勝のデモではもう1つ、実用化が楽しみな自動運転関連の技術を見ることができた。アメリカ映画で見かけたことのある、あのサービスの自動化に日立AMSとクラリオンが取り組んでいるのだ。