クルマの知能化が進む自動車業界で、自動運転関連の技術開発を進める日立オートモーティブシステムズ(以下、日立AMS)。自動運転での走行中、システムが破損した場合の対策など、同社が研究する領域は幅広い。その技術の一端を北海道・十勝のテストコースで体感した。

日立AMSは日立製作所が自動車事業を2009年に分社して設立した。日産自動車「プロパイロット」向けECUや、スバル「アイサイト」向けステレオカメラなどを手掛ける(画像は十勝テストコースに並んだデモ車両)

人とクルマの間で責任が行き来する自動運転レベル3

自動運転の研究が進む自動車業界だが、「レベル3」と呼ばれる領域(自動運転のレベリングについて詳しくはこちら)に踏み込むかどうかについては、いろいろな考え方があるようだ。レベル3の自動運転では、クルマ(システム)が運転の責任を担う自動運転状態と、人間による手動運転状態が混在するので、その責任の受け渡しが難しい。アウディは先頃、新型「A8」で世界で初めてレベル3の領域に踏み込むと発表し、世間の耳目を集めた。

アウディ「A8」(東京モーターショー2017で撮影)

例えば自動運転状態の車内で、人間(ドライバー)がくつろいでいたり、何か別の(運転以外の)作業をしていたりする時に、クルマのシステムに問題が生じるなど、自動運転技術では回避不可能なシチュエーションが発生すると、どうなるのか。クルマは人間に、どんな感じで運転を引き渡すのか。これはクルマの作り手にとって難題だ。引き渡しには何秒くらいの時間的猶予を持たせるのか、あるいは引き渡しが必要な状況にあることをどのようにドライバーに知らせるかなど、まだまだ煮詰まっていない課題も多い。

この課題に対し、日立AMSが提示するのが「1 Fail Operational」(ワン・フェイル・オペレーショナル)という技術だ。