――撮影中、もっとも大変だと感じたシーンはどこでしょうか。
大東:やはり何といっても、シルバーのスーツを着てのアクションシーン全部です。ただし、スーツの着心地自体はすばらしく良いんですよ。なぜなら、衣装合わせを5、6回やって、さらに現場でもブラスト造型部の方が臨機応変に対応してくださいましたから。でも、劇中でバージョンアップしたスーツ(R2)はフルフェイスのマスクで、走るシーンなどでは視界がものすごく狭く、そんな中でアクションをするのがとてもキツかった!
渡部:健はプロボクサーで、自分の実力を試すため密かに地下格闘技で戦っているという設定なのですが、この格闘技場での一連のシーンが特に緊張感がありました。同じ場所で、いろいろな人が同時に何かしらのアクションを起こしているので、それらをすべて把握している必要がありますし、物語の冒頭で観客の人たちを作品世界に引き込まなければならない大事なシーン。なので、かなり集中して撮影に臨みました。
――本作はいわゆる特撮・SF映画のカテゴリに入りますが、現実離れした映像が見せ場になる一方で、絵空事になってしまわないためにお2人が意識された"リアル"な部分とはどんなところでしょうか?
大東:光二は未来から現在の世界にやってきた人間という設定なので、時空を超えることによって生じる"痛み"みたいものを表現したかったんです。過去とか未来に行けたらどうしようかな……といったことを僕はときどき真剣に考えたりするのですが、時空を超えるというのは絶対に長所だけではない、どこかの歯車がズレるような気がするんですよ。
実際、光二にも兄姉(光一、ひとみ)と別れる"痛み"を経験しています。また、光二は強化スーツを着て強くなっているけれど、彼自身には特別な能力はないんです。宇宙人を倒して人類を救いたいという強い思いはあるものの、あくまでも生身の人間であるという部分は常に意識していました。最初の戦いでも、スーツを着てのバトルなのに、ギリギリなんとか勝ってる感じで。心に関しても、正義の概念に関しても、パーフェクトではない、"人間的な部分"を念頭に置いて演技しました。
渡部:健は兄・健一郎の思いを汲んでレッドバロンの操縦者になりますが、そもそも巨大ロボットを動かすというシチュエーションそのものが「非日常」です。操縦のリアリティというより、敵の攻撃を受けたらこんな衝撃が来て、やっぱりこれくらい痛いんじゃないかなとか、こういう出来事があったら操縦している健は苦しいよな、という痛みや苦しみをリアルに表現しようと意識したところがあります。
――大東さん、渡部さんを支える多彩な共演者の顔ぶれも大きな見どころです。共演の方で特に印象に残っている方はどなたですか。
大東:はるか役の山本千尋さんですね。
渡部:僕もです。おそらく千尋さん演じるはるかが、この映画の中でいちばん強いと思います(笑)。
大東:すごいですよね。剣技の動きが速すぎて。
渡部:剣を持たせたら、ガチで誰も敵わない。本物の武術家としての凄みがありました。
大東:映画って本来、リアル以上のものをカタチにしてくれるものだと思うんですけれど、彼女の動きを生で観ていた僕からすると、実際の動きに映像が追い付いていない印象です。
渡部:そうそう、速すぎて見えないというか。
大東:カメラで捉えきれないほど、スピーディな動きなんです。
渡部:逆に、これCGなんじゃないの?と思ってしまうくらいです。彼女のアクションシーンはすべて生身ですから!
大東:剣をふるうアクションシーンは必見ですね。きっと観ている人も千尋さんのアクションから「風」を感じると思いますよ。