今年の東京モーターショーに出展された三菱自動車工業の主題となるコンセプトカーは「MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT」と名付けられた。これは、電気自動車(EV)のクロスオーバーSUV(スポーツ多目的車)である。同社が「エボリューション」を名乗らせたクルマは、何を語るのだろうか。
三菱自動車は現在、「アウトランダーPHEV」(PHEV=プラグインハイブリッド車)を世界的に販売し、SUVの電動化に一歩先んじている。これをさらに、純粋にEV化したのが「e-EVOLUTION CONCEPT」だ。
エボリューションが示す進化の歴史
エボリューションとは発展、進化という意味で、三菱自動車はこれまで、ラリー競技を目指し高性能化した市販車に、この名称を与えてきた歴史を持つ。初代は1992年に遡る。「ランサー」という小型乗用車に、格上の「ギャラン」に搭載されていたエンジンを移植し、なおかつ4輪駆動とした高性能車だ。
その後、モデルチェンジをするたびにエボリューション車種が設けられ、最終型の「ランサーエボリューションX(テン)」まで歴史を積み上げてきた。この間、世界ラリー選手権では1998年にメーカーチャンピオンを獲得したほか、ランサーエボリューションに乗ったラリードライバーが4回、世界チャンピオンとなっている。
2005年の東京モーターショーでは、「ランサーエボリューションMIEV」として、モーターを4輪それぞれに配置した4輪駆動EVのコンセプトカーを出展している。当時のそれは、ランサーという4ドアセダンの乗用車が基であったが、エボリューションの名を冠したEVコンセプトカーの歴史は、十数年前まで遡ることができるのである。
三菱自動車から量産市販のEV「i-MiEV」が発売されるのは2009年のことだが、それ以前から、着々とEVの技術開発と、商品化へ向けた将来像の模索が行われてきていたのであった。