オリンパス「OM-D」シリーズの新作として「E-M10 Mark III」が登場した。2015年発売のミラーレス入門機「E-M10 Mark II」の後継であり、小型ボディを継承しつつ、エンジンや撮影機能の強化、操作性の改善などを図っている。その画質や使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

オリンパス「OM-D E-M10 Mark III」。編集時の税込実勢価格は、ボディ単体で88,000円前後、ダブルズームキットで116,800円前後

往年のデザインが所有欲をそそる

オリンパス OM-Dシリーズは、端正な外観デザインが魅力のひとつ。昔ながらの一眼レフを思わせる、とんがり頭の形状に所有欲や撮影意欲を刺激される人もいるだろう。電子ビューファインダー (EVF) や液晶モニターがレンズの光軸上に配置されているので、撮影から画像確認まで一連の動作が最小限の視線移動で済むという実用的なメリットもある。

今回取り上げる「E-M10 Mark III」は、そんなOM-Dシリーズのエントリーモデル。上級機「E-M1 Mark II」や中級機「E-M5 Mark II」と比べた場合、より小型軽量で低価格であることはもちろんだが、その上でビギナーでも気軽に扱えるよう、さまざまな工夫を凝らしている。

EVFを光軸上に配置した一眼レフ風のカメラデザイン。天面のダイヤル類からはメカっぽい雰囲気が漂う

EVFには約236万ドットの有機ELを、モニターにはチルト可動式の3.0型液晶をそれぞれ採用

キットレンズでもある沈胴式の薄型標準ズームを装着。ボディは写真のシルバーのほか、ブラックモデルが用意されている

9つの機能を集約した新しい撮影モード

中でもまず注目したいのは、新搭載された「アドバンストフォトモード」だ。これは、デジタルならではの撮影機能を集約したモードのこと。例えば「ライブコンポジット」では比較明合成という手法によって星空や車のライトを光跡として表現でき、「HDR撮影」では連写と画像合成によって広階調 (ハイダイナミックレンジ) な写真が撮れる。

また、広角レンズで生じる建物などの遠近感を真っすぐに補正できる「デジタルシフト」や、マクロ撮影時などにピント位置を自動的にずらしながら連写する「フォーカスブラケット」、2枚の写真を重ね合わせて記録する「多重露出」などの機能もアドバンストフォトモードから選べる。

アドバンストフォトモードの選択画面。「ライブコンポジット」では、光跡の状態を確認しながら星空や夜景が撮れる

電子シャッターによって作動音を出さずに撮影できる「静音撮影」もアドバンストフォトモードから選択できる

「デジタルシフト」では、画面表示を見ながら上下または左右の遠近感をデジタル補正できる

「多重露光」では、1枚目の画像を半透過で表示させながら2枚目の画像を撮影し、その2つを重ねて記録できる

アドバンストフォトモード「多重露出」で撮影。上位機とは異なり、撮影時に設定するオプションは特にない

アドバンストフォトモードに含まれる撮影機能は全9種類。いずれも既存モデルに搭載されていたものであり、機能自体が目新しいわけではない。だがこれまでは、機能がメニューの深い階層内にあり、知っている人以外には使われることが少なかった。それをアドバンストフォトモードにまとめることでアクセスを容易にし、ビギナーにも取っ付きやすくした、という狙いである。