メガーヌで踏み込む輸入車市場のど真ん中
しかし、カングー、ルノー・スポール、トゥインゴのいずれも、日本の輸入車マーケットでは脇役と言えるポジションにある。メインマーケットでのプレゼンスも高めたいところだ。そんな気持ちが表に出ていたのが、10月4日に発表された通算4代目となる新型「メガーヌ」だった。
なによりも驚いたのは、ルノー・スポールが手がけたスポーツグレード「GT」をメインとする商品構成だった。ボディはハッチバックとスポーツツアラーと呼ばれるワゴンの2タイプで、ハッチバックには1.2リッターターボエンジンを積む廉価版のGTラインも用意されるが、両ボディに用意されるのはGTのほうだ。
GTのエンジンは「ルーテシア R.S.」と基本的に同じ1.6リッターターボで205psを発生。7速デュアルクラッチ・トランスミッションを介して前輪を駆動する。
それ以上のニュースは、ルノーでは「4コントロール」と呼ぶ4輪操舵が導入されること。つまり、前輪だけでなく後輪も向きを変える。低速では最大2.7度前輪と逆に切れることで小回り性能を向上させる一方、高速では前輪と同じ向きに最大1度切れることで正確かつ安定したコーナリングをもたらすという。
現在、4輪操舵を採用している市販車は、レクサスやBMWなどのプレミアムブランドだ。それが300万円代という、手を伸ばせば届くハッチバックやワゴンに積まれたことは画期的と言える。
競合ひしめくCセグで「メガーヌ」は輝けるか
フランス車が得意とするデザインも凝っている。前後のランプにはLEDを用いており、フロントはC型のアクセント、リアは中央のエンブレムまで伸びた赤い帯がとにかく目立つ。インテリアはイルミネーションを5色から選択可能。フランス車が遅れ気味だった運転支援システムやコネクテッド装備もライバルに並ぶレベルになった。
メガーヌの発表会で大極社長は、「ゴルフ」などが属するCセグメントでのプレゼンスを高めるために、あえてFTS戦略を貫いてGTを主役に据えたと語った。説明しにくいと言われるフランス車の良さをどう伝えていくか。8年連続の成長を確定させたルノー・ジャポンは攻め方をつかみつつあるようだ。