ドイツ車が約6割という日本の輸入車マーケットで着実に伸びつつあるルノー。数字でアピールしにくいと言われるフランス車をどう売っているのか。新型「メガーヌ」の発表会でルノー・ジャポンの社長が口にしたのは「FTS」の3文字だった。
ドイツ一強の輸入車市場でルノーが健闘
日本は軽自動車を除く自動車販売台数に占める国産車の割合が約9割という、国産車が圧倒的に優位な市場だ。そして残りの1割を占める輸入車(国内メーカーの海外生産車を含む)に目を向けると、こちらはおよそ6割がドイツ車となっている。
クルマ自体の良し悪しだけでなく、長いものに巻かれがちな日本人の性格も、この結果に関係しているだろう。
しかし、輸入車についてはドイツ車以外も健闘している。わが国の日産自動車や三菱自動車工業とアライアンスを組んでいるフランスのルノーもそのひとつ。2010年から7年連続で前年の販売台数を上回っており、今年は9月中旬の時点ですでに2016年の数字を上回っている。つまり、8年連続の台数増が確実になっているのだ。
ニッチ戦略が奏功、ニッチとは言えない存在に?
なぜ、ここまでルノーは伸びているのか。理由のひとつに、日本市場に特化した独自の販売戦略があるのは間違いない。その戦略とは、2009年からルノー・ジャポンCOO、2012年から同社代表取締役社長を務める大極司(だいごく・つかさ)氏が推し進める「FTS」である。FTSとは「フレンチタッチ」「トレンディ」「スポーツ」の頭文字だ。
身内の日産をはじめとする国内メーカーが圧倒的に強いわが国において、正面から勝負を挑んでも難しいことは分かっている。そこで、ルノーは得意分野をいかしたニッチ戦略を取ることにしたのだ。それが成功に結び付き、今やニッチとは言えないレベルにまで成長している。