寺西マネージャーはリーフの魅力は乗れば分かると自負するが、販売店での試乗にはハードルを感じる消費者も存在する。そこで日産は、「イオンモール」などでの体験試乗を全国的に展開していく考えだ。「『ノートe-POWER』でも盛況でしたので、その経験を踏まえ、新型リーフでも体験試乗を行って、環境にいいクルマというだけでないワクワク感を広めていきたいです」と寺西マネージャーは語る。
集合住宅の充電問題にも切り込む日産
ところで、EVの普及で課題となっているのが、集合住宅における充電コンセントの設置の難しさである。居住者がEVを購入し、敷地内の駐車場で充電したいと思っても、共同利用の場所である駐車場にコンセント設置工事を行うには、管理組合の合意が必要になる場合が多い。そこで否決されてしまうと、EVの購入を諦めなければならないことになりかねない。
そこで日産、大京アステージ、NECの3社は、集合住宅へのEV用コンセント設置を促進するための覚書を締結し、既築のマンションへの充電コンセント設置を支援することになった。まずは、選定されたマンションでの実証が始まる。
その内容として、まずはマンション駐車場への充電設備の設置費用を実質ゼロ円とし、住民側の負担をなくす。そして、管理組合との折衝や、約款の改訂などには大京アステージが支援を行う。これによりEVの所有者は、月々のサービス基本料と電気代の支払いをするだけで充電設備を使えるようになる。
集合住宅における充電コンセント設置の問題は、日産だけの話ではなく、またEVに限った話でもない。充電を行うプラグインハイブリッド車(PHV)も同様であり、他の自動車メーカーや輸入車メーカーも、解決の糸口を掴めずにいた課題であった。そこに、日産が一歩切り込んだことになる。
充電し放題のプランも
一方で、日産の調査によれば、戸建てのリーフ所有者でも、自宅に充電コンセントの設置工事をしている人は4割程度。実は、公共の充電器を利用してリーフに乗っている人が多いのだ。それはガソリンスタンドで給油する感覚だが、EVの充電には給油よりも長く時間が掛かる。なぜ、そのようなリーフの乗り方をする人がいるのだろうか。
日産では、定額で何度も充電できる“使い放題プラン”を実施している。月額2,000円を支払えば、充電のたびに掛かる電気代を定額で済ませられるのである。極端に言えば、2,000円で日本一周のドライブもできてしまうというキャンペーンである。距離を乗る人には、自宅で充電するより安上がりになるだろう。
日産は、初代リーフ発売の際に1週間無料で試乗できるキャンペーンを展開した。実際にEVの使い勝手や走行感覚を日常生活のなかで体験してもらうことで、リーフの販売につながったとの話も耳にする。このように、これまでのエンジン車やHVでは採用されてこなかった新発想の販売促進策を、これまでも日産は取り入れてきているのだ。