Intel Core i7-8700K/Core i5-8400レビュー - Coffee LakeはRyzenを突き放せるか

Sandra Platinum Version 24.41(グラフ77～96)

まずDhrystone(グラフ77～78)から。目を引くのが、Core i7-8700Kのスコアの高さだ(グラフ77)。Ryzen R7 1800Xを上回るだけでなく、Core i7-7700Kの倍近いという驚愕の性能である。コア数が4→6になったので、それだけで伸びの半分は説明できるが、残りの半分の説明がつかない。

ではSingle Threadでは? というのがグラフ78で、Core i7-7700K比で20%ほどの性能アップである。これはTurbo時の動作周波数の差(4.5GHz vs 4.7GHz)すら超えている。Core i7-7700Kが定格(4.2GHz)、Core i7-8700KがTurbo(4.7GHz)だとしても動作周波数差は10%程度だから、もう10%程度どこかから持ってこないと辻褄が合わない。

次にWhetstone(グラフ79～80)だが、Multi Thread(グラフ79)では8coreのRyzen 7 1800Xと6coreのCore i7-8700Kがほぼ並んでいる。もっともSingle Thread(グラフ80)だとそこまでの性能差は無い訳で、これはちょっと面白いことになっている。

1 Threadでの性能もさることながら、Multi ThreadとSingle Threadの性能比をまとめると

Dhrystone	MT(GIPS)	1T(GIPS)	性能比
i5-8400	204.00	35.90	2.87
i7-7700K	143.31	34.93	4.10
i7-8700K	267.79	42.40	6.32
Ryzen 7 1800X	248.62	31.48	7.90

Whetstone	MT(GIPS)	1T(GIPS)	性能比
i5-8400	106.38	18.61	5.72
i7-7700K	104.53	20.86	5.01
i7-8700K	190.27	22.00	8.65
Ryzen 7 1800X	196.35	17.76	11.06

ということになる。Core i5-8400の性能比が高いのも特徴的だが、Core i7-8700Kの性能がやけに伸びている(特にWhetstoneでそれが顕著)のが特徴的である。

他のテストは? ということで、Processor Multi-Media(グラフ81～84)を見てみると、Int(グラフ81～82)、Float(グラフ83～84)ともに、Single ThreadではCore i7-8700Kが高速であるが、10%程度の差に留まっている。ところがMulti-ThreadにするとCore i7-7700K比でダブルスコアに近くなる。

違う種類のテストだと? ということで、Cryptography(グラフ85～88)を見ると、AES Encryption/DecryptionのMulti Thread(グラフ85)ではメモリアクセスがボトルネックになっているのか、あまり性能差は出ず。

Single Thread(グラフ86)ではRyzen 7 1800Xが最高速だが、それはともかくとしてCore i7-8700KはCore i7-7700K比で5%程度の改善でしかない。HashingはMulti-Thread(グラフ87)ではCore i7-8700Kが突出しているが、Single-Thread(グラフ88)ではそれほど大きな差ではない。

ちなみにSHA1/SHA2がMulti-Threadで18GB/secあたりで頭打ちなのは、このあたりでキャッシュの頭打ちな気がする。ただ帯域というよりは、キャッシュの容量が頭打ちなのではないかと思う。

グラフ89～94がFinancial Analysisの結果だが、Black-Scholes(グラフ89～90)、Binomial(グラフ91～92)、Monte Carlo(グラフ93～94)という3種類のオプション計算で、Core i7-8700KがSingle ThreadだとCore i7-7700Kの10%増し程度なのに、Multi-Threadだとダブルスコアというように傾向が一貫している。