軽量化+新型エンジンで走りも進化
走りについてはまず、ターボがつかない自然吸気エンジンでも十分な加速が得られることに驚いた。最初に乗ったのがこの自然吸気車だったのだが、よく走るので途中までターボ車と勘違いしていたほどだ。
新型のアピールポイントの1つである80kgもの軽量化が効いているのはもちろん、パワーユニットの一新も効果を発揮しているようだ。6年前に登場した旧型でも新開発エンジンを投入していた。2世代続いて新型に切り替えるのは異例だ。
これについて開発担当者は、販売成績が良かったので開発費用をかけることが可能だったという事情も明かしながら、シリンダーの内径(ボア)を小さくして行程(ストローク)を伸ばすことで、混合気の流れを活発にして燃焼効率を上げつつ、ボア縮小によるバルブの小径化は「VTEC」の名でおなじみの可変バルブ機構を投入して、全域での力強さを獲得したという。
さらに無段変速機(CVT)は、回転をなるべく上げずに走るセッティングとしたことに加え、エンジンマウントを見直すことでノイズの周波数をコントロールし、静かに感じさせる配慮もしたとのことだ。
確かにエンジン音は3気筒とは思えない上質なサウンドで、ボリュームも抑えられており、長距離でも快適に過ごせそうだった。あとで乗ったターボに比べるとエンジンを回すことにはなるが、回している実感が薄いのでターボとの差をあまり感じない。
80kgもの軽量化というとボディ剛性を心配する人がいるかもしれないが、ドアの開け閉めはしっかりしており、乗り心地はいかにもサスペンションがよく動いている様子で、良好だった旧型をさらに上回っていた。
運転支援システムを全車標準装備に
この快適性をさらに引き上げていたのが、「ホンダセンシング(Honda SENSING)」と呼ばれる運転支援システムを全車に標準装備したことだ。
クルーズコントロールは前車追従のアダプティブタイプに進化し、コーナーでは操舵をアシストする機能まで盛り込まれた。「フィット」や「フリード」と同じ内容であり、作動感も2台同様、自然で完成度の高いものだった。高速道路での安定性は旧型同様ハイレベルなので、ホンダセンシングの投入は鬼に金棒という感じがした。
6年前に旧型がデビューしたとき、多くの面で軽自動車のレベルを超越した走りに驚いた記憶があるが、今回もまた、同じレベルの驚きをもたらしてくれた。これでは上のクラスのクルマが売れなくなってしまうのではないかと心配してしまうぐらい、新型N-BOXの走りは「軽離れ」していた。