8月31日のモデルチェンジで2代目に進化したホンダの“売れ筋”軽自動車「N-BOX」。見た目は旧型とあまり変わらない。だからこそ「中身はどうなんだろう?」という気持ちでいる人は多いはず。実際に試乗した印象をお届けすることで、気になる疑問にお答えしよう。
モデル末期まで売れ続けた初代「N-BOX」
2011年に発売されるや、軽自動車ベストセラーの座に何度も就き、今年に入っても勢いが衰えなかったホンダN-BOXが、8月31日にモデルチェンジを実施した。その内容はすでに紹介しているが、今までも売れていたのになぜモデルチェンジするのか、疑問に思った人もいるだろう。
しかも新型のスタイリングは、旧型とほとんど変わらない。軽自動車の規格は全長3,400mm、全幅1,480mm、全高2,000mm以内と変わっていないので、この枠内で最大限の室内空間を確保しようと思ったら、おのずと形は決まってくるとも言えるのだが。
筆者にも似たような気持ちは少しあった。しかし、今月行われた報道関係者向け試乗会で実車に触れ、運転してみると、逆に進化のレベルの大きさに驚くことになってしまった。
トレンドに沿ったカスタムの顔変更
まず、旧型と似ているという声が多いスタイリングだが、たしかに標準車についてはそっくりであるものの、カスタムについては以前と違う印象を抱いた。
旧型「N-BOXカスタム」は、クロームメッキをふんだんに使ったフロントマスクが特徴だった。ギラギラという言葉が似合う顔つきで、それが人気を後押しした要因の1つだったようだが、筆者には馴染めなかった。
それが新型では、クロームメッキは太めのバーを1本入れただけ。細い吊り目のヘッドランプはややキツめだが、全体はむしろブラックフェイスと呼びたくなるほど黒い部分が多く、精悍な雰囲気に変わっている。
試乗後に開発担当者に聞いたところ、世の中のトレンドに沿ったものだという答えが返ってきて、なるほどと思った。例えばトヨタの大型ミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」は、昔はヴェルファイアのほうがギラギラしていたのに、現行型はむしろ逆になっている。
カスタムを求めるユーザーの好みが、豪華路線から精悍路線にシフトしており、N-BOXもこれに合わせたということなのだろう。