振り返れば、日本では、多くの企業が液晶ディスプレイ市場に参入していた。

シャープのほかにも、JDIに至ることになる日立製作所やソニー、東芝、三洋電機、パナソニック、セイコーエプソンの6社、さらにシャープに事業統合した富士通、中国メーカーに事業売却したNECも液晶事業を行っていた。また、三菱電機や京セラが依然として液晶事業を推進しているほか、カシオの液晶事業を凸版印刷に売却して独立事業として推進しているオルタステクノロジーもある。

実際、1998年頃までの日系メーカーの生産能力シェアは全世界の70%を占めていた。だが、2003年にはトップシェアの座を韓国、台湾に一気に奪われて1位から3位に転落すると、その後もシェアは減少。2014年以降は、10%を切る水準にまで落ち込んでいる。

さらに、こうした動きにあわせてテレビメーカーのシェアも大きく減少。薄型テレビでは、2005年に全世界で4割以上を誇っていた日系メーカーのシェアが、現在では10%強にまで縮小。ノートPCも2006年に全世界で約2割のシェアを占めていたが、現在ではその10分の1にまで減少し、日系メーカーの存在感はまったくない。

シャープの桶谷上席常務は、こうした動きを振り返りながら、日系パネルメーカーが減少し、生産能力シェアも減少。最終製品のシェアがここまで大きく落ち込んだきっかけが、液晶パネルの技術流出だというのだ。