iPhone 8 Plusのレビュー期間中、ワシントンDCで友人の結婚式が行われた。これに合わせて、週末を米国の首都で、iPhone 8 Plusで写真を撮りながら過ごしていた。明るい時間帯から暗い時間帯にかけて、また写真もビデオも、1台のiPhoneで全てを撮影することができ、さりげなく、しかしじっくりと、喜びの日を記録するにはぴったりだった。

観光の写真は、自分や家族、そして名所と、その被写体は様々だ。景色を撮るには望遠が良いし、人を撮るには風景も入れるため、どちらかというと広角が便利だ。iPhone 8 Plusは、2つのレンズを備えるカメラと多彩な撮影モードで、あらゆるシーンに対応してくれた。

米国国立自然史博物館。巨大な象を2階から見下ろし、望遠レンズで撮影した。レンズ自体はf2.8と同じだが、センサーの向上のおかげで、薄暗い場所でもぶれずに撮影できる

蝶のパビリオン。羽根の質感が伝わってくると同時に、細かい触覚や足なども観察できる

蝶のパビリオンを1080p/240fpsのスロームービーで撮影した。蝶の羽根のしなり具合まで観察することができる。また、ビデオ撮影では、蝶にかなり近くまで迫れ、細かい構造やエサの食べ方などを観察できた

特に印象的だったのは、無料で充実の展示を楽しむことができるスミソニアン博物館の自然史博物館にあった蝶のパビリオンだ。300匹の蝶がひらひらと飛び交う展示に、iPhone 8 Plusのカメラは、静止画、ビデオ、スロー撮影とカメラ機能が活躍した。前述のように静止画は素早く次の写真を撮ることができ、Live Photosの動画から写真を選べるため、素早く動く被写体を撮るのに最適だった。また、4Kで毎秒60フレームの撮影が可能な動画撮影は、蝶の羽ばたきをよりていねいに描写でき、フルHDで240フレーム秒を捉えるスロー撮影は、蝶の動きをあとから確かめるにはぴったりだった。

今回は使用しなかったが、ビデオ撮影では4K/毎秒24フレームという映画スタイルの新しい撮影モードも追加された。これと滑らかなビデオを実現するジンバルの組み合わせは、スマートフォンで撮影するビデオながら、まるで映画のワンシーンであるかのような錯覚すら覚える仕上がりになるだろう。

iPhone 8シリーズのカメラには、光学手ぶれ補正機能も刷新されており、センサーの拡大と相まって、暗所での撮影が強化されている。遅いシャッタースピードでもぶれにくくなった。夜の撮影、雰囲気の良い室内での撮影に威力を発揮する。

また、ポートレートライティングに埋もれがちだが、iPhone 8ともにiPhone 8 Plusのフラッシュ撮影も強化されている。これまでのように自然なスキントーンを実現する機能に加えて、スローシンク機能を搭載した。例えば夜景をバックにフラッシュ撮影をすると、これまでは被写体が明るく写り、夜景が全く映らないということがあった。そこで、フラッシュは点灯させつつ、シャッタースピードを長くして夜景も収める、スローシンクロ撮影というテクニックが使われるのだが、iPhone 8シリーズでは、フラッシュに、これを搭載したのだ。特別なモード切替があるわけではなく、iPhoneがシーンを判断して、自動的にスローシンク機能で撮影してくれる。

もう1つ、これはiOS 10によって実現した機能だが、決定的瞬間が1度しか訪れないイベントで、ミスショットをしない工夫として、全ての写真をLive Photosで撮影するというものがある。Live Photosはシャッターの瞬間と前後1.5秒ずつの動画を含む、ちょっと動く写真。Live PhotosはiOS 11でビデオ部分が高画質化し、撮影したあとから、写真として残したいフレームを選ぶことができるようになった。ちょっとシャッターが遅れたな、と思っても、あとからぴったりの瞬間を選び直すことができるのだ。

1枚を撮っておけば、様々なエフェクトを楽しむことができるポートレートライティング、そして静止画を切り出しても美しい4K/60fpsや映画のような4K/24fpsのビデオ撮影、そして決定的瞬間を逃さないLive Photosと、iPhoneが最も身近な、しかし非常に強力なカメラであることを改めて実感させてくれる体験だった。