LEOMO設立

「目的があって始めた会社ではなく、何かをやるために始まった会社。動機は不純ですw」と加地氏(撮影:磯崎威志)

LEOMOの始まりは孫泰蔵氏に「一緒に仕事をしない?」と声をかけられたのがきっかけだっだ。ソフトバンクグループを離れた加地氏がその話に乗った。しかし、やるべきことは曖昧だった。加地氏は当時、趣味として自転車競技にのめりこんでいた。加地氏は今も日本のプロリーグというべき「Jプロツアー」に所属するトップアスリートであるが、当時から趣味の域を超えて自転車に取り組んでいた。ちょうど、その頃に、孫氏もトライアスロンに取り組んでいた。互いの趣味を考えて、やるべきテーマはスポーツになったが、それはまだ曖昧な漠然としたものにすぎない。

スポーツに絡めて何かをやる――。そう思ったのが今から5年前のこと。フェイスブックが伸び盛りだった当時、スポーツログを使ったSNSをやろうと思い立ったのだ。

「作ってみたら、スポーツのログだけを集めてもつまらなかったんです。少し改良して、食事のログも入れたら、ますます、つまらなくなったw スポーツは練習しても日に1回、食事は3回、食のログがあふれて何のサービスかわからなくなった。やってみてわかったけれど、やらなくてもわかったかもw」

方向性を修正し、次に"対戦"と"リアルタイム"の要素を入れた。たとえば、1周5キロほどの周回ランニングコース。知人がどこにいて、自分がどこにいるのか。走っている最中に相手と差を開けたり、詰められたりしていることがリアルタイムに分かればエキサイティングだ。そんなサービスをスマートフォンに入れたら面白いと思ったという。

しかし、問題はあった。それは「走りながらスマホを見るか」だ。ランニング時にスマホを身に着けるのは煩わしいし、情報確認するのも現実的ではない。時計だったら軽いし、楽だ。だったら、スマートウォッチを作ればいい――。当時はまだApple Watchがなく、Androidベースのスマートウォッチが出始めた頃の話である。