破格の予約台数、テスラの「モデル3」が出荷開始

「先代のリーフはEV時代の先駆者だったが、2代目は日産のコアとなる商品だ」と西川日産社長は強調する。今回、日産は初代リーフの問題点を改善し、1充電で400キロの航続距離とバッテリー容量も大きくし、日産の最新技術を詰め込みながら価格も315万360円から(EV補助金で実質的な負担額は275万円から)と初代と同水準に抑えて市場浸透を狙う。

航続距離が伸びて最新技術も搭載しながら価格は初代と同水準の新型リーフ

折しも、環境問題に関心の高い欧州では、フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車排ガス不正問題を契機とし、乗用車市場の主流だったディーゼルエンジン車からの転換がメーカーと各国政府の方針として広がっている。

一方、テスラは最新量販EV「モデル3」の出荷を7月から開始した。イーロン・マスク率いるテスラは、巧みなイメージ戦略で話題と関心を集め、このモデル3は発売前から50万台という破格の予約台数を集めている。

EVシフトの流れが加速

EVについては、かねて燃料電池車(FCV)とともにゼロ・エミッションの本命として世界の自動車メーカーが開発を進めてきたが、ともにメリット、デメリットを抱え、その技術進化、インフラ整備、コストダウンには課題も多く、実用化に時間がかかってきた。

EVの普及を阻むのは、インフラ整備やコストダウンといった問題だ

だが、電動化ということでは内燃機関とモーターによるハイブリッド(HV)から、家庭で充電できるプラグインハイブリッド(PHV)、さらには内燃機関からの切り替えによるEVおよびFCVへという流れがある。一時は、地球環境対応の観点から、水素社会実現の掛け声でFCVが究極のエコカーと本命視されたが、水素供給スタンド整備の遅れもあり、このところの「EVシフト」ムードに押されて影が薄くなっている。

もっとも、HVもトヨタ自動車が1997年末に「プリウス」を赤字覚悟で発売して以来、トヨタHV戦略を貫いて市場浸透させるまでには約15年を費やしたのだ。日産としても、初代リーフを発売した2010年末頃での「EV時代到来」は「見出し先行」で反響が高かったものの、EVブームは尻すぼみとなった。

トヨタのHVも市場に浸透するには時間を要した(画像は「プリウスPHV」)

しかし、今回は「本格的なEVに乗り出したところで、初代リーフ投入時から取り巻く環境、情勢も大きく変化してきた」(西川日産社長)ということなのだ。