iPhone 6s/6s Plusの下取り価格を割り込んではいけない?
そしてもう1つは、総務省が今年1月に策定した「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」である。この中で、先の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」が一部改訂され、端末購入補助について「端末の調達費用及び関連下取り等価格に照らし、合理的な額の負担を求めることが適当である」との記述がなされたのである。
これは要するに、端末の下取り価格を下回るような値引きをしてはいけない、ということ。ガイドラインによると、下取り価格の基準は2年前に発売された、同じメーカーの同型機種の下取り額が基準になるとされており、新iPhoneの場合は2015年発売の「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の下取り価格を下回らない額で販売することが求められるわけだ。
執筆時点(9月10日)で、大手3社における両機種の下取り価格を確認すると、iPhone 6sが2万7000円から2万9000円、iPhone 6s Plusが3万円から3万1000円といった状況のようだ。無論、新iPhoneの発売を機に下取り価格を大幅に下げることで販売価格を下げる可能性も考えられるのだが、少なくとも現状では、仮に後継モデル「新iPhone」「新iPhone Plus」が出た場合、値引き後の実質負担金は3万円より上の設定になりそうだ。
ちなみにiPhone 6s/6s Plusが発売された頃は、まだ端末価格の値引きに対する制限が緩く、いわゆる“格安”の市場も現在ほどは盛り上がっていなかった。だが今は大手キャリアだけでなく、通信料をより一層引き下げられるMVNOや、機種は旧機種に限定されるがiPhoneをより安価に利用できる、ワイモバイルやUQ mobileなどの選択肢もある。それゆえ新iPhoneの購入に3万円を支払う、あるいは4年間の割賦契約を結ぶことに抵抗感を抱く人は、2年前と比べれば増えているのは確かだ。
だがそれでもなお、iPhoneのブランドや使い勝手に対する評価は高く、iPhoneに慣れたユーザーはその後もiPhoneを選ぶ傾向が強い。そして何よりキャリアがiPhoneを重視する戦略を取り続ける以上、新iPhoneの販売に急ブレーキがかかる可能性は低いだろう。新iPhoneの魅力がどの程度なのかにもよるだろうが、実質的な値上げの影響で新iPhoneの販売がやや落ちるとはいえ、市場に劇的な影響を与える程大きく落ち込む可能性は低いのではないかと、筆者は見ている。