スマートフォンでMRを実現した「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」

もう1つ、MRに関して新たな取り組みを見せたのがレノボだ。同社は先に触れた通り、Windows MR対応のHMD「Lenovo Explorer」を発表しているが、もう1つ「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」という製品も発表している。

これは文字通り、映画「スター・ウォーズ」の世界観を模したゲームを体験できるもの。スマートフォンを挿入して利用する専用のHMDと、ライトセーバー型のコントローラー、そして位置をトラッキングするのに用いるビーコンの3つがセットで提供され、ビーコンを床に置き、コントローラーを持って操作する形となる。

最大の特徴は、HMDのディスプレイがHoloLens同様ハーフミラーになっていることで、現実世界の中にスター・ウォーズのキャラクターが浮かび上がる、MRによるコンテンツを実現していることだ。特にコンシューマー向け製品において、スマートフォンを活用したMRはこれまでほとんど存在しなかっただけに、非常に面白い取り組みだといえる。

「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」のHMDとコントローラー。HMDに搭載されたカメラで床に設置したビーコンとコントローラーの位置を把握し、動きながらゲームなどを楽しめる

IFA会場で実際に試すことができたのは、ジェダイの騎士となってコントローラーを振りかざし、ダークサイドの敵(カイロ・レン)を切り付けて倒すバトルゲーム。視界を完全に覆うVRでこうしたゲームをプレイすると、動きが激しくなりやすく、そして「VR酔い」が発生しやすいだけに、MRならではの特性をうまく生かしたコンテンツといえそうだ。

実際にゲームをプレイしているところ。HMDのディスプレイがハーフミラーなので、良いが現実空間に敵が現れる感覚を味わえる

VR、AR、そしてMRの利用が拡大するためには、プラットフォームを主体としたソフトウェア技術と、手に入りやすく快適に利用できるデバイスの両面で進化が求められているが、今回のIFAではその両面で着実に進歩している様子を見て取ることができた。幅広い層への普及に向けた課題はまだ少なからずあるが、VRなどが「珍しいもの」である時代は過ぎ、大衆化に向けた動きが徐々に進んでいることは確かなようだ。