カメラとCPUの性能強化がARに新たな進化をもたらす
昨年「ポケモンGO」のヒットで盛り上がりを見せたARに関しては、IFAの開催直前にGoogleが3つのカメラを活用したARプラットフォーム「Tango」から、1つのカメラを活用した「ARCore」にシフトするなどの大きな動きがあった。そうした影響もあってか、IFAではARに関する取り組みを前面に打ち出す企業は存在しなかったのだが、それでもAR関連で注目を集めた要素は存在する。それはソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ1」「Xperia XZ1 Compact」に搭載された「3Dクリエーター」である。
これは両機種のカメラを用いて人の顔や食べ物などをスキャンし、3Dデータとして取り込むもの。取り込んだデータはカメラの「ARエフェクト」機能を用い、現実世界に3Dアバターとして登場させてユニークな動きをさせるなどして楽しめるほか、3Dプリンターで出力することも可能だという。
従来、人の顔などを3Dでスキャンするには専用の機械が必要とされていたが、それをスマートフォンのカメラを用い、パノラマ撮影のような感覚で撮影するだけで、3Dデータとして取り込めるというのは大きな進化だ。ソニーモバイルの関係者によると、この機能を実現するには高性能のCPUが必要とのことで、クアルコムのハイエンドモデル向けチップセット「Snapdragon 835」を採用していることが、実現に大きく影響したようだ。
ちなみにソニーモバイルは、カメラに必要なイメージセンサーに強みを持つソニーの技術を活用できるというアドバンテージも持ち合わせており、そうしたカメラ性能の高さも、3Dクリエーターの実現には影響したといえる。イメージセンサーとCPUの性能向上、そしてARCoreやアップルの「ARKit」など、一般的なスマートフォンで利用しやすいARプラットフォームの整備が進むことにより、スマートフォンによるARも今後急拡大する可能性が高いといえそうだ。