2018年4月からスタートするプラットフォームでは、Classiで作成したIDで他のパートナー企業が提供するサービスをシングルサインオンで利用できる。Classiにとっては他サービス連携によるコンテンツ拡充と新規契約が見込め、収益の安定化が期待できる。一方のパートナー企業は、77万人におよぶClassi契約ユーザー数に営業部門を抱えることなくアプローチしやすくなるほか、シングルサインオンによって各校の導入障壁が大きく下がるメリットがある。

「ICTを活用したいと話す先生たちは少なくない。ただ、先生たちは生徒のID/パスワードをサービスごとに発行・管理する必要があり、作業が煩雑になるデメリットが大きかった。Classiでは、先生のID/パスワードと生徒のID/パスワードをグループ化して管理しており、単なるシングルサインオンだけでなく、提携サービスにログインすればそのまま生徒の管理が可能になる」(加藤氏)

既存の学習教材や動画サービスを提供することで支持を得てきたClassiだが、「学校のニーズは各校細かい部分で差異がある。自分たちできめ細やかなニーズの最適化が難しい。パートナー企業の協力のもとで提供することが最適だと判断した」(加藤氏)。

Classiは学校と長年のパイプを持つベネッセの営業部門が販売しているため、大きな基盤を作り上げることができた。一方でパートナー企業が直接学校に販売するには壁があると加藤氏は話す。

「教科書以外の教材の購入は『進路部』が行うところがあれば、各教科の担任が購入するケースもある。Classiの基盤があれば、それらの先生が全員、管理コンソールで教材のレコメンドを見ることになり、認知が図れる。先生とパートナー、双方にとって大きなメリットとなるはずだ」(加藤氏)

パートナーは、Classiがピックアップした「英語4技能」や「アクティブ・ラーニング」「STEM」といったこれからの学習に必要とされる8ジャンルに当てはまる企業を中心に探す方針だ。Open ID規格による連携で技術的障壁を引き下げており、将来的なオープンAPI化によるパートナー企業の拡充も否定しなかった加藤氏だが、「アプリを増やしすぎてしまうと先生が迷う」と話す。

実際、Chromebookの浸透でICT化が進むアメリカではジャンルごとにアプリが乱立して問題になっているとのことで、「まずはジャンルごとに最適なアプリを提供していきたい」(加藤氏)。ただ、現状では日本で「ジャンルに必ず1つ、アプリを提供する企業があるわけではない」(加藤氏)とのことで、理想と現実に差があるようだ。

5社+1社のパートナー企業からスタートするが、加藤氏は「+1」が面白いと話す。その1社は教育と探求社で、「QUEST EDUCATION」を提供する。このサービスはClassi IDこそ活用しないために「+1」という位置づけだが、アクティブ・ラーニング型教育カリキュラムを提供しており、150校の2万名が学校の正規授業で学ぶ国内最大級の教育カリキュラムだという。

「アクティブ・ラーニングと、プロジェクト・ラーニングとも言われるもので、アクティブ・ラーニングに取り組みたいけど踏み出せない先生たちに最適なプログラムだ。ビジネスコンテストの可愛い版、みたいなもので、4~5人のグループを作って大企業から経営課題を高校生に与える。浮かんだ疑問をClassiにばんばん書き込んで、問題解決学習(PBL)を行う。デジタルとリアルを組み合わせることが、デジタルありきではないリアルな教育体験の場として非常に大きい」(加藤氏)